空港からパリ市内への道は夜中のように暗いのに通勤ラッシュのようだった。バス停には人が並び、カフェのカウンターにはモーニングを食べる人が溢れている。この日、道路は少し渋滞、通常4〜50分で着くロワシーバスも1時間ちょっと掛かかりオペラガルニエ横には8時過ぎに着いた。それでもまだこんなに暗かった。少し雨も降っている。街はキラキラしてるし、薄暗いのに活気はあるし、はじめて見る光景に胸が躍った。
僕らはここからホテルのあるレピュブリックまでメトロに乗ることにした。スーツケースは持ってるけれど、着いたばかりで中身は軽い。日本の鉄道で使う「スイカ」のようなカード「ナヴィゴ」を作ってみたい気がしたのだけど、二人併せて30回程度の使用なら回数券の「カルネ」を二人でシェアしたほうが安いようだし、作る時間も掛からないから「カルネ」を買うことにした。オペラガルニエの目の前にあるオペラという駅には自動販売機が何台かあり、その中のひとつは紙幣が使えた。これはラッキー(^_^) カルネとはチケットの10枚綴りなのではなく、普通のチケット(ビレ)が10枚出てくるだけだった。1枚1.6ユーロのチケットが10枚買うと11.40ユーロになる。お得だね。取りあえず、それを二人で分け合うことにした。
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フランス語の地図にはl'Hôtel des Invalidesって書いてある。通称アンヴァリッドles Invalidesなのだそうだ。静かで少し湿った感じがするのは雨が降っていたからだけではないのだと思う。このドーム教会のドームの真下、地下からの吹き抜けにはナポレオン・ボナパルドが6重にもなった大きな棺の中で眠っている。アンヴァリッドは廃兵院と呼ばれ17世紀に傷病兵を看護する軍の施設として立てられ、wikiによれば現在も100人近くの戦傷病兵が暮らしているのだそうだ。ここには他に軍事博物館と解放勲章博物館が公開されていてミュージアムパスで見て回る事ができる。
帰って来てから知ったのだけれど、この広場に置かれた沢山の砲台のなかには、日本が馬関戦争でフランスに没収された砲台もあるのだそうだ。寒いし雨が降っていたから庭を散策する気にはならなかったなぁ......。
パリの人は雨が降っても傘を差さない人が多い。その代わりにフードを被る文化がある。郷に入っては......とばかりに僕もフードを被って歩き回ってみた。たぶん、これがいけなかったのだろう、4日後には40度近い熱を出すことになった。
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アンヴァリッドの東、通りを挟んだ所に"Le musée Rodinロダン美術館"がある。ここもミュージアムパスで入れる美術館の1つだ。ストリートビューでは入り口に行列が出来ているが、この日はとても空いていた。パリの美術館を回るにはオフシーズンが良さそうだ。美しい庭園に囲まれたこのロココ建築の建物は18世紀に建てられたもので、以降、幾人も所有者が変わるなかでフランス衛兵隊の総司令官ビロン将軍の名を借り「ビロン館」と呼ばれているのだそうだ。詩人リルケの誘いでこの屋敷に住むようになったロダンの他にも、コクトーやマティスもここに住んでいたという。これまでロダンの作品を纏めてたくさん見る機会が無かった。上野の国立西洋美術館にある「地獄の門」と「考える人」を見て、迫力と力強さは感じても美しさはあまり感じなかった。でもここにあるロダンの作品はとても官能的で美しいものが多い。粗い仕上げの作品の中にロダンの彫刻の質の高さを見る。ここに来てロダンが好きになる。
more...... "Le musée Rodinロダン美術館" »
ロダン美術館の庭で作品を見ていたら寒くてしょうがなくなってきた。僕らは敷地内にあるカフェに行き、温かいカプチーノとエスプレッソを飲んだ。そういえば飛行機を降りてからアンヴァリッドの駅内にあったパン屋のキッシュ・ロレーヌをかじっただけだったからチーズのサンドイッチとワッフルも買った。このチーズ、かなり熟成香の強いチーズだった。うーむ、さすがフランス、チーズのレベルが高いですのぉ。
more...... "ロダン美術館のカフェとトイレ" »
ロダン美術館から歩いて10分くらい、閑静な路地のワイン屋さんの並びに、ロダンやブールデルと共に近代ヨーロッパを代表するとされる彫刻家アリスティド・マイヨールの美術館があった。ここはマイヨールのモデルを15歳の時からつとめたディナ・ヴィエルニーが1995年にオープンしたディナ・ヴィエルニー財団による美術館なのだそうだ。歴史ある建物の内装がキレイに整えられていて居心地の良い美術館だった。マイヨール作品のコレクションは勿論だけど、マティスやピカソの他、ロシアなど、たくさんの作家の作品が楽しめた。
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おしゃれなブティックやショップの並ぶショッピング通りを素通りしてサンジェルマン大通りに出た。
そこには有名なカフェもある。コーヒーの値段なんか安い所の倍以上するから東京で言えば銀座か青山かってな感じなのだろうか。
「へぇ〜、ここがぁ〜」と眺めたり本屋に立ち寄ったりしながら大通りに面しているサンジェルマン・デ・プレ教会に着いた。
落ち着いた雰囲気をもった教会で、地元の人に愛されている空気が漂っている。
この教会の周りは落ち着いた雰囲気の路地が多くて散歩していても楽しかった。
more...... "サンジェルマン・デ・プレ教会" »
ドラクロワ記念館からオルセーに向かう途中、セルジュ・ゲンスブールが住んでいたという家の横を通るルートを選んでみた。
ゲンスブールの家の壁は落書きだらけなのだ。
more...... "ゲンスブールの家の壁" »
1900年のパリ万国博覧会開催に合わせて、オルレアン鉄道によって建設されたオルセー駅の鉄道駅舎兼ホテルだったのを美術館にしたのがこの"Musée d'Orsayオルセー美術館"なのだそうだ。パリにある大きな美術館の幾つかは週に1、2度、夜遅くまで開館している日がある。オルセー美術館にもあって、通常は18:00閉館のところ木曜日だけは21:45閉館だった。オルセー美術館に着いたのは薄暗くなった5時過ぎだったけど、まだ4時間は裕に見られる。早朝に空港に着いてから歩き詰めでそろそろ体力的には限界に近い気もしたけどミュージアムパスを持っているから何度でも入れるし、見られる所まで見てみようと思った。
美術館に入ってみて思った。これは唯事じゃない。硝子と鉄骨で組まれた美しさと重厚感のある石造りが融合したこの大きな空間にはとんでもない数の名画と立体作品が展示されている。原則的にここには1848年から1914年までの作品が展示されているという。それ以前の作品はルーブル美術館に、それ以降の作品はポンピドューセンターに振り分けられているのだそうだ。
写真は美術館中央にある通路のような空間で彫刻作品がゆったりと点在している。その両側に展示室があり、3階構造(3階部分の展示室は片側だけ)になっている。
more...... "Musée d'Orsay オルセー美術館" »
パリに着いて2日目、この日僕らは1日中"Musée du Louvreルーブル美術館"にいました。水曜と金曜のルーブルは通常18時閉館のところ22時まで開いている。この日は金曜で夜遅くまで美術館に居られるから、どっぷりとルーブルに浸ることにしました。1日では回りきれないと思っていたけど、閉館時間まで目一杯歩き回ることでなんと1日で全てのブースを見て回ることが出来ました。ただ最後の方は足は痛く、見終わった時には放心状態でしたが。。「"コ"の字型」になっているルーブルの窓から見える広場とピラミッドは時間と共に表情を替えて、それを見ているだけも楽しいくらい。そんな1日をエントリーしてみようと思ったら削ったつもりでも凄い量の写真になっちゃいました。予め回るルートを考えていなかったので、効率良く回れたとは思えませんが、ざっと記録しておこうと思います。
まずは朝、メトロの駅から地下で繋がっている逆さピラミッドのある通路入口に着いたのが開館の9時5分前。開場待ちの列が出来てました。でもこの列はチケットを持っていない人用の列で、僕らは前日にミュージアムパスを買っておいたからこの列には並ばず、チケットを持っている人用の列へ行くと人は数える程度。ラッキー!
ルーブルはリシュリュー翼、ドノン翼、シュリー翼の3辺の「"コ"の字」になっていて、ドノンは地下、1階、2階まで、それ以外は地下から3階までが展示室になっています。「先ずはモナリザだろう!」と、ドノン翼2階を目指しました。
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ルーブル美術館やオランジュリー美術館と同じチェイルリー公園内にある"Galerie nationale du Jeu de Paume ジュ・ド・ポーム"。
現在は現代写真と映像作品専門のギャラリーだけど、Wikiによればオルセー美術館が出来る前までは印象派の作品を所蔵していたようで旧印象派美術館とも呼ばれるようだ。
現代写真の、というだけあって内装は外観の印象とは違い、白を基調にしたシンプルな現代風のギャラリーになっている。企画展示室に入るのは有料だけど、簡単な手荷物チェックだけ受ければ建物の中には入れる。美術系の本や美術雑誌が並ぶスペースと無料の展示ブースは自由に閲覧出来るし、カフェもある。本屋のスペースに立ち寄るだけでも良いかもしれない。
ジュ・ド・ポームって名前は、かつてフランス貴族の間で流行した遊びで手でボールを打ち返し合う現在のテニスの原型と呼べるスポーツのことなのだそうだ。1861年にナポレオン三世によって創られた室内球技場がこの建物で、その事にちなんで今の名前が付けられたらしい。
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もともとチュイルリー宮殿のオレンジ温室だったのを、モネの『睡蓮』の連作を収めるため美術館にしたという"Musée de l'Orangerie オランジュリー美術館"。モネの作品だけでなくポール・ギョームのコレクションも展示されているから結構な作品量で見応えがあった。と、同時に連日の美術館巡りにそろそろ疲れも出て来た感じ(^_^;)
2日目に行ったルーブルで、燃え尽きた感があり、あとはのんびり回ったら良いんじゃないか、くらいのノリでもある(^_^;)
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2006年6月に開館したパリでは新しい国立の美術館"Musee du Quai Branly ケブランリー美術館"。僕はここに展示よりもパトリック・ブランの垂直庭園を見たくて来たのでした(^_^) 金沢21世紀美術館にもあるそうですね。
ミュージアムパスも使えるのでジャン・ヌーヴェル設計の建物の中にも入ってみよぉ〜っと。
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ここはエッフェル塔の真下にある広場。さすがは観光名所、冬の寒い午後でも沢山の人がいた。写真の中央、手に銀色の尖りを持ち、少しうつむき気味の似た姿勢の男が3人。彼らは手に沢山のエッフェル塔をぶら下げた「エッフェル塔売りの男」たちだ。しばらく見ていたけれど、どうも売れているは様子がない。寒さのせいで活性が低いのかそれほど執拗に観光客に食い付いたりもしていなかった。僕は彼らの1人と近い場所にいたし目が合ったのにも関わらず目を逸らされた。(←お金持ちじゃないってバレたかな(^_^;) )
モンマルトルのサクレクール寺院では少し離れた所から「アイアム、ノーデンジャラース」と言いながら近付いて来る男がいた。日本でだって「怪しい者じゃありません」って奴ほど怪しい奴はいないし「種も仕掛けもありません」という手品には種がある。彼はモンマルトル名物の「ミサンガ売りの男」だ。近付いて勝手にミサンガを結びお金を請求されるから近付かない方が良いらしい。怪しい人には初めから曖昧な態度を取らずはっきりと断れば良いわけだ。
僕が小学生の時、下校時間の校門(この小学校には大きな正門と職員室の近くにある西門、古くからある小さな煉瓦造りの煉瓦門の3つがあって僕の登下校は大抵この煉瓦門を使っていた)の外で、おじさん1人に子供たちのちょっとした人集りが出来ていた。楽しそうだから駆け寄ると、おじさんは何やら口に含んで「ブーブ、ブー、ブーブ、ブーーー」と笹笛のような音を出している。みんな、何だろう、と興味津々におじさんの口元を見つめている。おじさんは口の中から銀色の厚紙を二つ折りして緑色の紐でグルグル巻いた2cmくらいのものを取り出しだ。「これを前歯で上手に噛みながら息を出すと音がなるんだぞぉ」と言って、またとても楽しそうに音を鳴らすんだ。これが小さなビニールに入っているのを見せて「1個100円だよー」と言った。「えー、今、お金持ってないよー」と同じ子供会の男の子が言った。おじさんは「家に帰って持っておいでー」と言ってまた楽しそうに音をだし、その子は家に向かって走っていった。何人かの子がそれを買った。僕は凄く悩んだ。たしか1ヶ月の小遣いが300円だった時だったし、駄菓子を買うよりもいけないことにお金を使うようでドキドキした。僕はずいぶん悩んだ末にそれを買った。
袋から出して家に向かって歩きながら口に含み、息を吹いた。スー、スー、という息が抜ける音だけがした。しばらく練習したけど音が出ない。そのうち紐は解けてバラバラになった。僕は校門に戻ってみるともうおじさんはいなかった。
あのエッフェル塔(キーホルダー)は幾らだったんだろう。そんなに高く無ければ記念に買ってみても良かったかな、なんて今になって思う。しかし、まぁ、その時になれば、物の割にはバカ高いのだろうから、僕の財布の紐はなかなか緩まないのだろう。
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日曜日の朝、僕らはシテ島にあるノートルダム大聖堂に行った。
オフシーズンとは言え、日曜の朝、ミサで混み合っているかと思ったがそうでもなく、広場には一組の団体客がいるだけだった。
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ノートルダム大聖堂はパリの中心にあるから、ノートルダムの鐘のある塔に登るとパリを360度見渡すことができて気持ちがいい。
この日は朝から凄く寒かったけど、徐々に晴れ間が見えてきた(^_^)
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ドラクロワのフレスコ画「ヤコブと天使の戦い」を見にサン・シュルピス教会に行った。
教会の一部は囲いで覆われていて工事中のようだ。中に入ると人は疎ら、ドラクロワのブースにも殆ど人はいなく、向かい合った2つのフレスコ画の真下にある長椅子に座ってゆっくりと「ヤコブと天使の戦い」を見上げ眺めた。とても静かな時間だった。
教会の中にピアノの音が響いた。そういえば、教会の入口にピアノコンサートのポスターが貼ってあった。この日の夜、ここでピアノコンサートがあるらしい。
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