サンマルコ広場の一翼、コッレール博物館。
写真撮影禁止だったので中の写真はないのですが、この時は企画展はなく、またけっこうな数の作品が貸し出し中で目立った作品のレンタル先は日本......あぁ、そういえば江戸東京博物館のヴェネツィア展ではコッレール所蔵の作品をよく見た......という感じもあってか今ひとつ楽しめなかったのだ。
エントランスの階段のあるスペースの壁面は石像のレリーフに見立てた「だまし絵」で出来ている。これが微妙に上手くない、と感じるのは僕だけなんだろうか。うーむ。
壁や天井にこういったトロンプ・ルイユの1つを取り入れた教会は少なくないけど、この程度のものをここまで全面にやられるとトリックアートのミュージアムに来たみたいで有り難くないと思うのは、木目プリントの壁紙や、レンガ風サイディングに嫌悪感を持つ僕のアレルギー反応なのかもしれない。
遠近法とアナモルフォーシスを駆使した教会に感動することはあるし、先日書いたサン・ザッカリア教会のジョヴァンニ・ベリーニの「玉座の聖母と諸聖人」でも、壁に実際にある柱と同じものが絵の中にも描かれ、その絵の奥が実在する空間かのように描かれていて、これらは素晴らしいと思うのだけれど.....。
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自分たちが仕事を休むとしたら1月か2月。ヴェネツィア・ビエンナーレは11月までだからなかなか行かれそうにない。
ビエンナーレの期間以外でヴェネツィアで現代美術を見るなら、まずは2009年にオープンしたここ、プンタ・デッラ・ドガーナPunta della Doganaなんだろう。ここはフランスの実業家であり世界でトップクラスのアートコレクター、フランソワ・ピノー氏Francois Pinaultのコレクションによる現代美術館。パラッツォ・グラッシPalazzo Grassiも彼の所有で、ヴェネツィアでは2箇所で彼の現代美術コレクションが展示されているのだ。
もともとピノー氏はヴェネツィアではなく、パリ、セーヌ川に浮かぶセガン島のルノー工場跡地を買い安藤忠雄設計で彼の膨大なコレクションの保管場所を建築するつもりだったのだそうだ。それがフランスの行政の遅れから計画は遅延となり待っていられなくなったピノー氏はパラッツォ・グラッシを買い取り、次はこのプンタ・デッラ・ドガーナをグッゲンハイム財団との入札争いの末、勝ち取った(というかグッゲンハイムが降りたような形なのかな)のだという。まあ、スゴイ話だな。かつて海の税関倉庫だったこの建物のリメイクも安藤忠雄によるもの。
ピノー氏はグッチやイブサンローランを抱えるPPRグループの会長で、アートオークションのクリスティーヌも彼の所有、フランスワインのシャトー・グリエ、シャトー・ラトゥール、ドメーヌ・デュージェニーも所有しているのそうだ。
このプンタ・デッラ・ドガーナ、現代美術館としてレベルが高く、内容も充実している。ビエンナーレ期間外であっても、ピノー氏によってヴェネツィアはヴェネツィア共和国の文化芸術だけでなく現代の最新の美術も見られる島になったんだな。美術や建築を見てると思うけど.....お金持ちってすごいねー。
中は撮影禁止だったので写真はないんですが、この日、展示されていた作家は、アフリカンアメリカンフラッグのDavid Hammons、ひと目で分かるDonald Judd、Paul Mccarthy、Thomas Houseago、Ronihorn、最近NYのグッゲンハイムの吹き抜けに展示したイタリア人美術作家Maurizio Cattelan 、Subodh Gupta、直島のベネッセでも見ることができるBruce Nauman、Adel Abdessemed、Felix Gonzalez-Torres、Thomas Schutte、Sigmar Polke、などなどなどなど。元倉庫だけあって空間が広く、ゆったり見られます。
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世界各地に美術館を設置しつつあるソロモン・R・グッゲンハイム財団の運営する美術館。Peggy Guggenheimペギー・グッゲンハイムはソロモン・R・グッゲンハイムの姪でマックス・エルンストの元妻、その美術コレクションは、キュビズム、シュールレアリスム、未来派、形而上絵画、ヨーロッパやアメリカの抽象絵画、彫刻などなど。生前から自宅であるここを美術館としてコレクションを公開し、彼女の死後、作品の寄贈と運営はソロモン・R・グッゲンハイム財団となっているのだそうだ。
ピカソ、ブラック、カンディンスキー、クレー、ミロ、モディリアーニなどなど辺りからの時代の作品が沢山見ることが出来るけど、エルンストの「花嫁の衣装」は、ここで見られてよかったな、と思う。
ヴェネツィアの、建物の隙間が道路といった感じの狭く密集したエリアの印象とは違い、この辺りには画廊も多く比較的静かな場所。敷地内には彫刻作品の点在するガーデンもあり居心地のいい広さでゆったりとしている。
ここも館内撮影禁止だったので外観だけ。
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