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2017年08月 ARCHIVES

2017年08月29日

ロンドンのナショナルギャラリー

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またまた冬の回想のつづきです。
というか やり忘れた宿題と夏の疲れの現実逃避という感じでしょうか。笑

ロンドンに来たら寄らずにいられない美術館、ナショナルギャラリー。
これだけのコレクションが無料で見られるんだから行かないだけで損してる気がしちゃう。
前回 ロンドン来た時は2回行きました。笑
時折小雨降る曇天、絶好の美術館日和です。

ベルギーを旅してからフランドル系の絵画に目に止まることが多く、そういった点でもこの美術館はベルギーよりもお宝いっぱいだと思うのです。
そこらへんを中心にメモ。

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ヒエロニムスボスの「嘲笑されるキリスト」。
ヘント美術館にある「十字架を担うキリスト」を思い出します。

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この旅に持って来た本がたまたまエラスムスの「痴愚神礼讃」だったので、反射的に反応しました。
ハンスホルバインの描いたエラスムスです。
ホルバインはイギリスの宮廷画家ですが、生まれはドイツのアウクスブルグ。
そのあとスイスのバーゼルなどで富裕層をパトロンに宗教絵画や肖像画を描き、バーゼルにいたエラスムスの紹介でトマスモアを頼ってロンドンに来たそうです。一時帰国後して再度ロンドンへ、そこでイングランド王ヘンリー8世の宮廷画家となったそうです。
トマスモアの肖像画はフリックコレクションにあり、それもホルバインの代表作のひとつです。
痴愚神礼讃はエラスムスがトマスモアに向けて書いた一気に書いた本でした。
たまたま持って来た本の作者がフランドルのエラスムス、そしてロンドンのトマスモアとホルバインとの繋がりが個人的にタイムリーでした。

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そして同じ部屋にクエンティンマサイスがありました。
彼は痴愚神礼讃の影響を強く受けていますからこれまた上手く繋がりました。

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ハンスホルバインの代表作「大使たち」。
足元の頭蓋骨がだまし絵になっていますが、それだけでなく、非常に見事な描写ですね。
絵画鑑賞として見所盛りだくさんな一枚です。

写真に手が写ってるのが怖い。笑

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イタリアルネッサンスのスペースにあるミケランジェロの「キリストの埋葬」。
板絵のようです。見るからに未完成。それでも赤い服のヨハネの肉体表現はいかにもミケランジェロを感じさせますね。
左下にマグダラのマリア、奥にヨセフ、キリストの右にニコデモとサロメ。
ということは、右下の完全に空白の部分にはマリアが描かれる予定だったのでしょう。
マリアをどんな風に収めるつもりだったのか、すっごい興味ある。
マリアといえば服は青。その青に使うラピスラズリをなかなか届かずに描きかけのままミケランジェロは移動することになってしまったという話です。

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ブロンズィーノの「愛の勝利の寓意 Allegoria di Amore」。
ジェームズホール著、高階秀爾氏訳の新装版 西洋美術解読事典や、
エルヴィンパノフスキー著 イコノロジー研究の表紙として思い出しちゃう。笑
そのくらいたくさんの寓意が込められ、見て感じるだけでは理解できないマニエリスムを代表する作品です。
会場では異彩を放つ鮮やかさでした。
簡単に説明できないし、勉強しながら書いてるとメモが終わらないので、若桑みどり著マニエリスム芸術論なども含めた名著をお読みください。笑
ちなみに、上記リンクを貼った3冊はカラカラの本棚に入ってます。よかったら。


ちょっとフランドルから外れていましたが、ルーベンスの部屋に来ました。

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ルーベンスの「パリスの審判」です。

ぺーレウスとアキレウスの母テティスの結婚式の時、すべての神々が招待されました。
ただ争いの女神エリスだけは招待されず、怒ったエリスは「一番美しい女神へ」と書いた黄金の林檎を投げ入れました。
名乗り出た3人の女神が、主神ユーピテルの妻ユーノー、愛と美の女神ウェヌス、知恵の女神ミネルヴァでした。

ゼウスは自分で審判を下すのが面倒なので、山で羊飼いをしていたパリスに任せてしまいます。
実はこのパリス、トロイアの第二王子として生まれた王子なのですが、将来トロイアを滅ぼす原因になるとの不吉な予言のために追放されていた身なのです。

女神たちはそれぞれ自分が選ばれるようにパリスに贈り物を約束します。
ユーノーは権力と富みを、ウェヌスは人間の中で一番美しい女性を、ミネルヴァは戦場での誉れと名声を。
パリスは迷わずヴェヌスに林檎を渡したのでした。

ウェヌスの約束した「人間の中で一番美しい女性」それはゼウスとレーダーの娘ヘレネーでした。
絵画で目にする「レダと白鳥」、からできた娘です。
この時ヘレネーは既にスパルタ王メネラオスと結婚していましたが、ウェヌスの力でパリスと恋に落ちます。
これがスパルタとトロイアの戦い、トロイア戦争の発端です。

この物語は絵画に好まれた題材で、何人もの画家が描いています。
ルーベンスの描く女性像、、特にこの晩年の頃の作品からは太めがお好きなのが分かりますね。 

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早朝のステーン城の風景。
ルーベンスが1635年に購入したメヘレンとブリュッセルの間にあるエレヴェイトの領地の田園及びステーン城の風景です。

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こんな感じで展示されています。

ナショナルギャラリーはルーベンスの名作が多いです。

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平和と戦争の寓意。
スペインのフェリペ4世の使節として協定を結ぶためイングランドを訪れたルーベンスが、両国の平和を望み1629年から1630年にかけてイングランドでイングランド国王チャールズ1世に贈るために描いた作品です。
中央にいるのは豊穣の女神ケレス。
その奥、知恵と戦いの女神ミネルヴァが押しのけようとしているのが戦争を象徴する軍神マルスとその奥に復讐の女神アレークトー。手前にはイングランドの子供達が描かれています。
平和を求めるルーベンスの想いが込められた作品です。
外交官としてのルーベンスが絵画を使って平和のために政治を行っているのが素晴らしいと思うのです。

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想定していたキャンバスのサイズよりも絵のスケールが大きかったようで、継ぎ足した跡が見えます。

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サムソンとデリラ。
これもルーベンスの代表作です。
旧約聖書の中の話でオペラや映画にもなっているようですね。

イスラエルの民がペリシテ人の支配下で奴隷となっていた頃、神の力を与えられた怪力の男サムソンがイスラエルの民と共に立ち上がります。
とにかく凄い怪力のサムソンはペリシテ人を次々と大量に殺害、イスラエルの民は勝利を喜びます。
そんな折、サムソンの前にデリラが現れ、サムソンはデリラに恋をします。
ペリシテ人たちはデリラをお金で利用してサムソンの弱点を聞き出そうとし、デリラはそれに応えるべくサムソンに色仕掛けを掛けます。
サムソンは髪を剃られると力が出なくなることをデリラに教えてしまい、彼はお酒を飲まされて眠らされ、その間にデリラが髪を剃ってしまう、そんな場面です。
戸口の向こうでは松明を持ったペリシテ人たちが、力を失ったサムソンを捕まえようと待ち構えているドラマチックな場面を、イタリア留学から帰ったばかりのルーベンスはカラヴァッジョオばりの劇的な陰影で表現しています。

ちなみにこの後、サムソンはペリシテ人に捕らえられ、目を潰され、牢の中で臼を引かされることとなりました。
ペリシテ人は支配権の奪還を喜び、ペリシテ人の神殿で司祭と共に喜び踊ります。
そこへ呼び出されたサムソンは、力を神に願ったからなのか、髪が伸びてきたからなのか、怪力が戻り、神殿を支える大きな2本の柱を手探りで倒し神殿を崩壊させ、大量のペリシテ人と一緒に死に至ります。イスラエルの神の勝利です、というお話です。

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見応えあるスペースですねー。

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