那須温泉アートアパートメントについて

 

戦後の高度経済成長からの国内旅行、温泉旅行ブームで温泉地では宿泊施設の大型化が進み、建物は木造から鉄筋コンクリート造になったことで温泉街のビル化がはじまりました。
温泉は日本が世界に誇れる文化でもあるのですがビル化した温泉街の維持は今日の観光地の悩みでもあります。
那須八幡温泉のホテル「一望閣」にある3つの宿泊棟のうちの1つ、昭和30年代 に建てられた最も古い宿泊棟が老朽化のため2016年に一般的な客室としては閉鎖することとなりました。
そこで、その宿泊棟を芸術表現の場とするため、1部屋ずつを1作家もしくは1ユ ニットに無料で開放することからアートアパートメント計画が始まりました。

1部屋ずつが、異なるアーティストの表現によって、それぞれ違った世界に変わりつつあります。
表現された世界は客室としてご宿泊頂けます。
そして、ご宿泊頂くと宿泊料金の一部が作家に還元されます。

これは今まで美術作家が作品を制作して販売してきた形の経済活動とは違う新しい経営システムの試みでもあり、維持するだけで膨大な費用の掛かる温泉旅館と芸術表現を相互に利益のある形で繋ぐ可能性を持ったプロジェクトでもあります。

階段室、廊下なども展示空間にすることで、このアートアパートメントをより密度の高い表現の集合体にすることを目指しています。

作品が完成した順にご宿泊が可能になります。
その進行状況はFacebookページでご覧いただけます。
この作り上げていく過程の公開もアートアパートメントというプロジェクトの一部です。

老朽化した建物の雨漏りや壁の亀裂は、
これまでの長い月日、時間の可視化、
新たな表現はその時間と平行して進むこれからの時間、
そのパラレルな世界を鑑賞者の脳内で再構築しながら楽しんでもらう体験型アートプロジェクトとして3人の事務局により立ち上げました。

面白そうじゃん!と思いで集まってくださった作家の協力のもと、
またさらに、新たに魅力的な作家が加わり、
アートアパートメントは、変化を楽しみながら密度を上げ続けています。

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立ち上げから6ヶ月、最も古く老朽化した宿泊等の想定外の雨漏りの進行と新たな改修工事の計画により、
アートアパートのメイン会場は2番目に古い宿泊棟に移動になりました。
これから先、また想定外の変更がありそうな予感がありますが、変容を楽しむのがこのプロジェクトの目的でもあります。
皆さまも、表現の集合体となっていく温泉旅館の変化をお楽しみ下さい。

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2017年、一望閣に大規模なリニューアル計画が持ち上がりました。
予てから一望閣を懇意にされていた方の厚意から、那須八幡の自然と温泉を満喫できる新たな宿泊棟とレストラン、ロビーが新築されることになったのです。
2018年夏のリニューアルオープンに向けて一年間休館することとなりました。
現在、アートアパートメント化を進めている宿泊棟はこのまま、部分的に改修を加えながら、オープンに向けて密度を上げて行きます。
これもまた一つの大きな変化です。
ちょっと凄いことになってきました。
SNSでの経過報告をお楽しみに!


那須温泉アートアパートメント事務局  

〒325-0301 栃木県那須郡那須町湯本157 絶景一望閣内  
phone: 0287-76-3001  
email: nasuonsenartapartment@gmail.com  

代表 五十嵐 順一 (絶景 一望閣取締役) 
副代表  米倉万美(イラストレーター) 
真山えみり(絶景 一望閣) 
山口絵美 (遊クラフト) 
現場監督  のざわかずひろ(殻々工房) 

Illustration by Mami Yonekura "マーヤ"