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   MASUWO KANEKO EXHIBITION


  カネコマスヲ「 驚異の小部屋展 -WUNDERKAMMER- 」

  2021年7月31日(土)ー9月26日(日)






  カネコマスヲさんによる殻々工房では初めての個展「驚異の小部屋展」がはじまりました。

  展示作品数は50点というボリューム、ぜひ多くの方にご覧いただきたい充実した展示内容となっておりますが、
  8月4日から栃木県の新型コロナ感染拡大防止のための「まん延防止特別措置」8日からは県独自の「緊急事態宣言」によって、
  時短営業と酒類提供自粛などを実施しながらのスタートとなりました。

  8月31日までは営業時間は午後3時から7時まで、
  ギャラリー展示を中心にノンアルコールカクテルなどのみの提供でOPENいたします。

  気分転換のドライブなどで那須高原にお越しの際はぜひ気軽にお立ち寄りください。
  できるだけ少人数でのご入場をお願いしております。ご協力のほどよろしくお願いいたします。



  カネコマスヲさんは栃木県鹿沼市在住の現代美術作家です。
  とてもユニークなテーマで作品を作っていらっしゃいます。


  まずは、会場入り口に貼られたご挨拶をご覧ください。

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  はじめに

  ここに紹介するのは、私、M.KANEKO が世界中の海を探検しながら見つけてきた珍しい貝の標本です。
  15−18世紀にかけヨーロッパの有力貴族の間で作られたことに始まり流行したという、
  さまざまな珍品を集めた博物陳列館、その名も Wunderkammer(ヴンダーカンマー)。
  日本語では「驚異の部屋」と訳され、今日の博物館や美術館の先駆けとなったこの空間づくりの精神に倣い、
  貝殻を中心とした変わり種の博物標本を結集させた展覧会です。

  さて、展示された貝殻は、一見するとごく一般的なもの、いったい何が珍しいのでしょうか。
  その答えは、どうぞ皆様の目で、じっくりとご確認ください。
  順路に沿って解説をお読みいただきながら御覧いただければ幸いです。

  移動博物館
  館長 カネコマスヲ

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  会場では、お客様が作品の幾つかをご覧になった辺りで、お声かけして説明させていただいておりますが、
  このネットギャラリーでは、順路の1つ目の作品ではじめに説明させていただきます。

  まずは、作品「 採集録 ウサコダカラ 」をご覧ください。



  趣のある展示台の上に乗せられたアタッシュケースと解説があります。




  アタッシュケースにクランプで固定された貝が「ウサコダカラ」なのだとお分かりだと思います。
  開いたケースの上部の扉に、ガラス瓶の中にサンプルのように入った砂、海藻、珊瑚を見ると、
  漠然とでも「ウサコダカラ」の採集地を想像したり、多角的にリアルを感じ取ることができますね。
  まずはどうぞ、近づいてごゆっくりご覧ください。



  ケースの横に掲示された解説を読んでみましょう。

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  [上段]
  其一
  成貝の姿見からは想像がつきませんが、實は寶貝は巻貝です。
  幼貝は、先端の尖った普通の巻貝と同じような姿見をしてゐます。

  [下段]
  ウサコダカラ
  Cypraea tigris White Tiger Cowry
  殻は卵型で丸みが強く重厚。
  背面から側面にかけて白から青白色の地に茶褐色と黒色の円形斑点が多数散在する。
  腹面は白色で、殻口の歯は粗く、彩色されない。若い貝では色彩が白っぽいが、老生すると殻の地色がやや橙色を帯びる。
  亜種の多いホシダカラに近い種類と考えられていたが、背面の中央付近にある大きな斑点が、
  ウサギの顔のやうに見える所から、ウサギダカラと呼ばれるやうになったが、
  最近では「ウサギとゆうより、ウサコだから!」という意見が多く、
  ウサコダカラの呼び名のほう定着してゐる。

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  それではもう一度、ウサコダカラをじっくりご覧ください。
     




  ウサギ、 いや、ウサコは見つかりましたか?


  鋭い方は既にお気づきかもしれませんが、このウサコダカラは粘土を使った陶芸作品なのです。




  実は貝だけではなく、サンプルの珊瑚や海藻も作家による陶芸作品で、
  アンティークのようにエイジングされたケースや、展示台も全て作家による手作りの作品になります。
  もちろん、「ウサコダカラ」も実際には存在していない架空の貝であり、解説はカネコ氏によって作られたストーリーなのです。

  




  こちらは「採集録 アカシマシロザメミナシガイ」です。




  このフジツボがまたリアルです。
  カネコさんのユーモアが作品の面白さでもありますが、この技術の高さが美術作品として成立させ魅力を持たせている部分だと思います。






  この細かな仕事と、ケースに使われている部品の一つ一つへの拘りとエイジングを、会場でじっくりご覧いただけたら幸いです。






  こちらは「採集録 ナンヨウダカラ」です。
  ネーミングの由来となった模様を見つける楽しみもありますが、ハンドル部分の腐食や金具の錆が素晴らしいです。





  小作品も多数展示されています。
  この棚のなかの密度は、まさにヴンダーカンマーの世界です。



  こちらは「ゾウノキバフデ」と「ペンギンフデ」、他にも「チョウセンフデ」を多数展示しています。
  



  「ペンギンフデ」。ペンギン見えますねー。
  珊瑚は陶で作られていますが、砂だけは沖縄などの珊瑚のある海の砂が使われているそうです。
  



  こちらは「サルダカラ」。
  ガラス瓶の中に解説が入っています。
  そしてこの貝を裏返すと......それは会場か、作品のショップページの詳細をご覧ください。
  



  こちらは「ミネラリゼーション」シリーズです。

  全て陶芸による作品で水晶やポリゴンが貝に付着した作品でこちらは「石化 オウムガイ」です。
     



  こちらは「石化 ヤツシロガイ」。
  攻撃的にクリスタルが付着していてかなりの存在感です。
  



  こちらは「石化 デスロック」
  デスロックとは「死んだ岩」ですが、珊瑚が死んで真っ白になったものを指します。
  クリスタルとデスロックを合わせた「ミネラリゼーション」シリーズの1つです。
  



  木製の箱に収められ、標本箱のようになって壁掛け展示されているのは新作の「ミネラリゼーション」シリーズです。
  



  貝殻に鉱物による共存のような、付着のような、装飾のような。これも全て陶芸による作品です。
  巻貝の形が美しいナガニシガイ「石化 ナガニシ」です。
  



  ハマグリにクリスタル。迫力あります。
  



  こちらはホタテガイ。
  ボックスは全て開閉可能ですのでご購入後はこのように開けて手に取ってご覧いただけます。

  箱の側面に制作年と作家名が記載されておりますが、
  殻々工房ではご購入いただいた作品には全て、ギャラリー発行の作品証明を付けさせていただいております。
  ご一緒に保管いただけたら幸いです。

     



  こちらはミネラリゼーションによるアクセサリーです。

  かなり個性的ですが、ネックレスはいかがでしょうか。
  ペンダントトップの作品と革紐を外して収納できるようになっておりますので、
  使わない時は壁掛け作品としてお部屋に展示してください。
  



  こちらはイヤリングです。
  ピアス用とイヤリング用の金具のご用意ありますので、ご購入時にどちらがお選びください。
  


  照明は電球色を使用しており、実際の作品の色と異なる場合があります。
  バーと併せた空間のためご理解いただけたら幸いです。




  カネコマスヲ展の3Dビューができました。
  会場の雰囲気をリアルにお楽しみいただけます。
  下の画像をクリックして、リンク先のページにてお楽しみください。

  
  【3Dビュー作成・吉永健留】






「 採集録 アカシマシロザメミナシガイ 」

Size: H300mm W300mm D300mm (open)
H110mm W300mm D250mm (close)
セラミック、ミクストメディア



「 採集録 ナンヨウダカラ 」

Size: H300mm W315mm D280mm (open)
H130mm W315mm D250mm (close)
セラミック、ミクストメディア



「 採集録 ウサコダカラ 」

Size: H220mm W210mm D280mm (open)
H83mm W210mm D185mm (close)
セラミック、ミクストメディア



「 石化オウムガイ-a 」

Size: H135mm W195mm D150mm
セラミック、ミクストメディア

「 石化オウムガイ-b 」

Size: H135mm W195mm D150mm
セラミック、ミクストメディア



「 石化オウムガイ-c 」

Size: H140mm W195mm D150mm
セラミック、ミクストメディア



「 石化ヤツシロガイ-a 」

Size: H105mm W195mm D150mm
セラミック、ミクストメディア



「 石化ヤツシロガイ-b 」

Size: H105mm W195mm D150mm
セラミック、ミクストメディア



「 石化ナガニシ-a 」

Size: H195mm W140mm D50mm
セラミック、ミクストメディア



「 石化ナガニシ-b 」

Size: H195mm W140mm D50mm
セラミック、ミクストメディア



「 石化ホタテガイ 大ポリゴン 」

Size: H216mm W155mm D53mm
セラミック、ミクストメディア



「 石化ハマグリ 大 」

Size: H216mm W155mm D53mm
セラミック、ミクストメディア



「 石化ホタテガイ 小ポリゴン 」

Size: H177mm W130mm D50mm
セラミック、ミクストメディア



「 石化ホタテガイ 小水晶 」

Size: H177mm W130mm D50mm
セラミック、ミクストメディア



「 石化ハマグリ 小 」

Size: H177mm W130mm D50mm
セラミック、ミクストメディア



「 石化デスロック-a 」

Size: H55mm W130mm D150mm
セラミック、ミクストメディア



「 石化デスロック-b 」

Size: H60mm W115mm D165mm
セラミック、ミクストメディア



「 石化デスロック-c 」

Size: H50mm W104mm D150mm
セラミック、ミクストメディア



「 石化デスロック-d 」

Size: H45mm W90mm D140mm
セラミック、ミクストメディア



「 石化チョウセンフデガイ-a 」

Size: H110mm W60mm D60mm
セラミック、ミクストメディア



「 石化チョウセンフデガイ-b 」

Size: H110mm W60mm D60mm
セラミック、ミクストメディア



「 石化チョウセンフデガイ-c 」

Size: H110mm W60mm D60mm
セラミック、ミクストメディア



「 石化チョウセンフデガイ-d 」

Size: H110mm W60mm D60mm
セラミック、ミクストメディア



「 石化チョウセンフデガイ-e 」

Size: H110mm W60mm D60mm
セラミック、ミクストメディア



「 石化チョウセンフデガイ-f 」

Size: H110mm W60mm D60mm
セラミック、ミクストメディア



「 石化エダサンゴ 大-a 」

Size: H167mm W110mm D64mm
セラミック、ミクストメディア



「 石化エダサンゴ 大-b 」

Size: H167mm W110mm D64mm
セラミック、ミクストメディア



「 石化エダサンゴ 大-c 」

Size: H167mm W110mm D64mm
セラミック、ミクストメディア



「 石化エダサンゴ 中-a 」

Size: H118mm W110mm D64mm
セラミック、ミクストメディア



「 石化エダサンゴ 中-b 」

Size: H118mm W110mm D64mm
セラミック、ミクストメディア



「 瓶標本 ゾウノキバフデ-a 」

Size: H135mm W70mm D70mm
セラミック、ミクストメディア



「 瓶標本 ゾウノキバフデ-b 」

Size: H135mm W70mm D70mm
セラミック、ミクストメディア



「 瓶標本 ペンギンフデ-a 」

Size: H125mm W55mm D55mm
セラミック、ミクストメディア



「 瓶標本 ペンギンフデ-b 」

Size: H125mm W55mm D55mm
セラミック、ミクストメディア



「 瓶標本 ペンギンフデ-c 」

Size: H125mm W55mm D55mm
セラミック、ミクストメディア



「 瓶標本 ジャノメダカラ 」

Size: H140mm W70mm D70mm
セラミック、ミクストメディア



「 瓶標本 サルダカラ 」

Size: H117mm W75mm D75mm
セラミック、ミクストメディア



「 瓶標本 クチグロトンボダカラ 」

Size: H112mm W55mm D55mm
セラミック、ミクストメディア



「 瓶標本 ウシダカラ-a 」

Size: H91mm W50mm D50mm
セラミック、ミクストメディア



「 瓶標本 ウシダカラ-b 」

Size: H91mm W50mm D50mm
セラミック、ミクストメディア



「 瓶標本 イヌダカラ 」

Size: H91mm W50mm D50mm
セラミック、ミクストメディア



「 ネックレス ザルガイ-a 」

Size: H122mm W150mm D28mm
セラミック、ミクストメディア



「 ネックレス ザルガイ-b 」

Size: H122mm W150mm D28mm
セラミック、ミクストメディア



「 ネックレス ザルガイ-c 」

Size: H122mm W150mm D28mm
セラミック、ミクストメディア



「 ネックレス ザルガイ-d 」

Size: H122mm W150mm D28mm
セラミック、ミクストメディア



「 イヤリング-a 」

Size: H137mm W134mm D52mm
セラミック、ミクストメディア



「 イヤリング-b 」

Size: H137mm W134mm D52mm
セラミック、ミクストメディア



「 イヤリング-c 」

Size: H137mm W134mm D52mm
セラミック、ミクストメディア



「 イヤリング-d 」

Size: H137mm W134mm D52mm
セラミック、ミクストメディア


















  

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私のアートワークは、ある研究者が、”不思議な貝殻を見つけて収集する”と言う物語に準えて作られています。
アートワークは、二つのシリーズから構成されています。
一つ目は、“採集の記録”と名付けたものです。
貝類につけられた、日本での呼び名(和名)は、その貝の持つ形や、模様や、色のイメージによって名付けます。
焼き物で作られたリアルな貝殻の表面に、架空のイメージを描きます。このようにして作られた貝殻は、架空のものでありながら実在するもののように見えます。
作品は、”カネコマスヲ”と言う貝類の研究者が旅をしながら、珍しい貝殻を探し、その貝の標本を、トランクを模した標本箱に採集の記録と共に収めたものです。
標本箱に収められたオブジェは、海草やフジツボや採集地の岩石などですが、これらの物も全て焼き物で造られています。また、トランクは流用ではなく全て、私の創りなしたものです。側らに添えられたパネルには、その貝についての生態や名前の由来についての文章が掲載されています。この文書も私の創作によるものです。

二つ目は、“石化”と名付けたものです。
アンモナイトの化石が宝石化して、“アンモライト”となることに着想を得たものです。貝殻の化石が鉱物化したような様子を標本化したものです。

私の作品のテーマは「時間」です。現実には存在しない貝殻の博物標本によって、昔の研究者が標本づくりや、その調査のために費やした膨大な時間を表現しました。
また、素材を古く見せることで、過去から現代への時間の経過を、アートワークとして表現しています。架空の時間の経過を表現することで、日々の生活に追われて、慌ただしく暮らしている私たちに、幸福な時間の過ごし方とは何か?を考えてもらう作品です。
15~18世紀にかけヨーロッパで流行したという、さまざまな珍品を集めた博物陳列室、その名も「驚異の部屋」。この空間づくりの精神に倣い、作品を展示しています。

カネコマスヲ

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Exhibit Concept

My artworks are made in line with a story where one researcher says "Find and collect mysterious seashells".

This time the exhibit consists of two series.

The first series is called "Record of collection".
The Japanese names given to shellfish are based on the shape, pattern and color of the shellfish.
Shellfish researcher Masuwo Kaneko travels in search of rare shellfish, and stores the specimens and their collection records in a box that resembles a trunk. The objects contained in the specimen box are seaweed, barnacles, and rocks, all from the collection site.

All exhibit items are made of earthenware. I draw fictitious images that match the story of the name of the shellfish on the surface of a real-looking shell made of earthenware. The creation stories of all the items in my exhibit are my own creation.

The second series is called "Mineralization".
It was inspired by the fact that ammonite fossils become gems and become "Ammolite". This is a sample of how fossil shells look like once they have been mineralized.

The theme of my artworks is "time". The history of shell specimens that do not exist in reality represents the enormous amount of time that researchers have spent on specimen preparation and research.
Also, by making the materials look old, the passage of time from the past to the present is expressed in the artwork.
Expressing the passage of fictitious time is a way to please people in a hurry who lack time. The works are in essence a contemplation of time.

"Cabinet of Curiosities" is the name of a museum display room that collects various rare items that were popular in Europe from the 15th to 18th centuries. The works are exhibited in the spirit of creating this space.

Masuwo Kaneko

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  カネコマスヲ 略歴

  1969.6 栃木県日光市生まれ
  1992.3 茨城大学 教育学部 美術科 卒業
  1992.8 トーキョー・アーバナートコンペティション佳作受賞(渋谷パルコ・ スペースパートⅢ)
  1994.2 グループ展 アートラブ(茨城県つくば美術館 つくば市)
  1997.7 群馬青年ビエンナーレ(群馬県立近代美術館 高崎市)
  1999.6 水戸市美術展特賞受賞(水戸芸術館現代美術ギャラリー 水戸市)
  2011.10 3・11陶芸復興支援展(ギャラリー・イン・ザ・ブルー 宇都宮市)
  2012.9 GEISAI#17(東京都立産業貿易センター台東館 浅草)
  2012.9 個展 標本アート採集録(space369 日立市)
  2013.8 個展 標本アート採集録(耀画廊 東京九段)
  2016.7 第一回枕崎国際芸術賞展 協賛企業賞受賞 (南溟館  鹿児島県枕崎市)
  2016.7 個展 標本アート「カネコマスヲの不思議な貝殻図鑑」 (ギャラリーインザブルー・宇都宮市)
  2019.2 第5回宇都宮美術の現在展(宇都宮美術館 宇都宮市)
  2019.7 第二回枕崎国際芸術賞展 マルハチテクノロジー賞受賞 (南溟館  鹿児島県枕崎市)
  2020.9 個展 標本アート「驚異の小部屋展」 (ギャラリーインザブルー・宇都宮市)


    2021年8月現在