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HIROAKI SANO EXHIBITION

佐野広章 個展 

2023年10月03日(火)ー 12月03日(日)


10月3日から佐野広章展 がスタートしました。

10月も半ばを過ぎ、朝夕が冷え込むようになってきました。
那須高原では那須連山の紅葉がはじまり、秋の行楽シーズンを迎え山頂付近も人で賑わっています。
緩やかに麓に降りてくる紅葉や温泉を楽しむドライブと併せて、ご来場並びにご高覧いただけたら幸いです。




木版画による抽象的な作品を中心に制作されている美術作家、佐野広章さんによる殻々工房では初めての個展となります。

額装された作品が整然と壁に嵌り、佐野さんの作品の淡い色彩がいつになく心地良さを感じていただける展示だと思います。
秋の夜長から薪ストーブに火が灯る初冬に掛かるこの展示期間、1度となく何度でもごゆっくりお楽しみください。




今回、インターネットギャラリーで展示作品を紹介させていただくに際して、全てが額装作品のためどうしても作品の写真に照明が映り込んでしまうことお詫びいたします。また繊細な色合いの作品のため、電球色の影響で実際の作品とニュアンスが異なる写真がありますことご了承ください。
なんとかならないものか....と苦心してみたのですが、時間ばかりが過ぎてしまい開き直ることにしました。(笑

今回も展示期間内限定でショップサイトを連携してインターネットで個別作品の詳細閲覧や作品のご購入も可能です。
遠方の方や、夜の外出が難しい方などにご利用いただけたら幸いです。




こちらの壁面はぜひ自然光の入る夕方の明るい時間に見ていただきたい作品です。
一見、木版画には見えない淡く抽象的で大きな作品でありがら、近付いてみると更に版表現のレイヤーの複雑な奥行きをお楽しみいただけると思います。



今展の作品のタイトルの中には、steam「蒸気」hazy「霞」といった気体を表すワードが多く含まれています。

蒸気は物質が液体から蒸発したり固体から昇華して気体になった状態のことですが、私たちの視界や視線を遮る立体的空間を持つものです。その奥で、もしくはその中にある何か、時には植物や生命体のような存在と空間を版表現のレイヤーで表現されているように思います。




こちらは作品「hide in steam」(部分)です。

木版画が絵画のように見える特徴の1つに、版のレイヤーの一体感があるように思います。
胡粉や水を使った版を重なり、凹版と凸版、バレンでの刷りの技術によって幾つかの層が部分的に一体化することで視覚的な奥行きの複雑さが増しているのだと思います。
ちなみにこの作品には7つの版を使っているそうです。




佐野さんは清宮質文(せいみやなおぶみ)研究での論文を発表されていて、彼による技法を取り入れているそうです。
論文読みたい。




照明の都合でかなり黄色く映ってしまってますが、実物を見ていただくと、白く抜けた部分と木版らしい彫りの跡、広い色面の層が大きな流れを作りつつも霞のように表面を覆い、その奥から透けて見えた線にどこか生命的な要素も感じ取られ、その複雑さが絵画的な一体感を生んでいます。



この作品のエディションの分母は3。
これは1日に刷れる枚数の限界でもあるそうで、これだけ大きな版を7版、同じ状態でバレンで刷り上げる体力や物理的な問題が関係しているのだと思います。




こちらは今展の中での最新作で、さらにひとまわり大きな作品になります。
小作品も魅力的なのですが、あえてここでは見応えのある大作をノートさせていただきたいと思います。

こちらの作品は「melt in the shelter」です。



柔らかく透けた重なりの上に乗せられたビビットな赤。
近付いて見れば、複雑な彫りの表情も見えゾワゾワが前面に現れています。




作品中央部分では更に複雑に色と層が重なります。
輪郭の曖昧な線と色の層の集積が絵画的な柔らかさと奥行きを見せ目が引き付けられます。

この作品のエディションの分母は2。
モノタイプでも良いくらいですね。



こちらの壁の作品もぜひカラカラでごゆっくりお楽しみください。




こちらのアクリルボックスに収められた小作品は新作の半立体作品です。




木版画が刷られた下地の上に手漉き和紙、メディウム、カラーインクを使用した作品です。
こちらの作品は「fruit of pupae」。



木版画による作品のタイトルに見られる霞や蒸気に隠れた、閉ざされた、といったイメージと共通したテーマとして、
フルーツの中身、またはその表面、蛹のようなシェルターと内部、、といった見えないけれども感じる生命感を、版表現とは異なるより具体化した表現として、半立体作品にされたシリーズのようです。

この作品で手漉き和紙の間から見えるビビットな色が、新作の版画に見られる鮮やかな色使いにも関係しているそうで、素材と技法を変えることによる作家内での相互作用があるように思えます。





平置きになりますが、木版画による小作品もあります。


会期は12月3日(日)まで。
皆様のご来場並びにご高覧を心よりお待ちしております。






佐野広章 個展

2023年10月3日(火)ー12月03日(日)

Open 16:00 - Close 23:00 L.o.22:00 木曜定休


※バーのためお席のご予約はお酒のご利用のお客様のみとさせていただいております。ご来店時に空席ありましたらカフェ的にお使いいただくことも可能です。ご理解いただけますと幸いです。

※作品のご売約はお電話、メール、SNSでも承っております。
※お住まいが近隣の場合は会期終了後の納品も可能です。お気軽にご相談ください。
※ショップサイトでのご購入には梱包料を含めた送料が必要となりますが、店頭受渡しをご選択いただくことも可能です。
※不明な点はお気軽にお問い合わせください。




【お問い合わせ】

Bar+Artgallery 殻々工房 カラカラコウボウ

phone: 0287781100 (pm16:00-23:00)
email: karakarafactory@gmail.com
sns:
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「hide in the shadow of the water」

2022
W400 H400
W690 H680 D25 (額装含)

木版(水性凹凸版)








「hide in hazy - Ⅰ -」

2022
W400 H400
W620 H620 D30 (額装含)

木版(水性凹凸版)







 

「hide in hazy - Ⅲ -」

2022
W400 H400
W620 H620 D30 (額装含)

木版(水性凹凸版)








「hide in hazy - Ⅱ -」

2022
W400 H400
W620 H620 D30 (額装含)

木版(水性凹凸版)







 

「hide in flow」

2022
W600 H800
W820 H1030 D30(額装含)

木版(水性凹凸版)







「hide in steam」

2022
W600 H800
W820 H1030 D30(額装含)

木版(水性凹凸版)






 

「hide in the bark」

2022
W600 H800
W820 H1030 D30 (額装含)

木版(水性凹凸版)






 

「born in steam」

2022
W140 H190
W348 H424 D21 (額装含)

木版(水性凹凸版)






 

「melt in the shelter」

2023
W770 H960
W930 H1180 D40 (額装含)

木版(水性凹凸版)






 

「floating steam #1」

2023
W225 H235 D31

ミクストメディア (木版画、手漉き和紙、メディウム、カラーインク、アクリルボックス)







「fruit pupae #1」

2023
W325 H385 D31

ミクストメディア (木版画、手漉き和紙、メディウム、カラーインク、アクリルボックス)






 

「fruit pupae #2」

2023
W325 H385 D31

ミクストメディア (木版画、手漉き和紙、メディウム、カラーインク、アクリルボックス)









「fruit pupae #3」

2023
W325 H385 D31

ミクストメディア (木版画、手漉き和紙、メディウム、カラーインク、アクリルボックス)






 

「My tree and drops」

2022
W100 H100
W265 H265 D (額装含)

木版(水性凹凸版)






 

「蛹 - Ⅺ -」

2022
W100 H100
W265 H265 D (額装含)

木版(水性凹凸版)






 

「hazy star - Ⅱ -」

2022
W65 H85
W220 H270 D (額装含)

木版(水性凹凸版)






 

「hazy star - Ⅰ -」

2022
W65 H85
W220 H270 D (額装含)

木版(水性凹凸版)











佐野 広章 Hiroaki Sano 略歴


1972年 埼玉県出身
1999年 多摩美術大学大学院 美術研究科 絵画専攻 修了
2022年 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 博士後期課程 芸術専攻 修了
現在   日本版画協会会員、群馬版画家協会会員、版画学会会員、芸術学研究会会員



【受賞歴】

2004年 “FABIO BERTONI” INTERNATIONAL ENGRAVING AWARD 5th EDITION
(Italy)【Third Prize】
2005年 飛騨高山木版画ビエンナーレ【協賛賞】
2005年 プリンツ21グランプリ展【スポンサー賞】
2005年 第73回日本版画協会展【準会員佳作賞】
2009年 2nd Guanlan International Print Biennial 2009 (China)
【Guanlan International Print Prize】
2017年 第61回CWAJ現代版画展【2017年CWAJ現代版画展賞】



【主な個展開催】

2008, 10, 12, 14, 16, 18, 20, 22年 養清堂画廊(銀座)
2008年 GALLERY EARTH BISION(横浜)
2018年 ギャラリー ART G(高崎)
2018年 shop & gallery 象(桐生)



【主な海外展出品】

2005年 Exhibition of Contemporary Print Works of Mexico and Japan in Guanajuato (Mexico)
2016年 日中現代版画交流展-2016深圳展 (China)
2016年 Contemporary Japanese Print Show (Canada)
2019年 World Wide Prints-project (Italy)
2020年 “Kanreki(還暦)2020”- ティコティン日本美術館 (Israel)
2021年 国際水性版画展 (China)
2022年 “SPIRIT” EXHIBITION OF JAPANESE PRINTMAKING (Romania)



【作品収蔵】

町田市立国際版画美術館、多摩美術大学美術館、雪梁舎美術館、大川美術館、台湾師範大学 (Taiwan)、Guanlan Culture and Art center (China)、Silpakorn University Art Museum (Thailand)、Fermignano city (Italy)、Ploiesti Art Museum (Romania)、Collection of the International Print Biennale Yerevan (Armenia) 、Faro Cabo Mayor Art Center (Spain)

2023年10月現在