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TAKAO USUI EXHIBITION

薄井隆夫 個展 "THE VIEW REFLECTED" 

2024年08月03日(土)ー 10月02日(水)


8月3日(土)から、現代美術作家で画家の薄井隆夫(うすいたかお)さんによる殻々工房では初めてとなる個展"THE VIEW REFLECTED"がスタートしました。

8月の那須高原は観光地で避暑地でもあるので連休中は大変に賑わいましたが そろそろ暑さも渋滞も落ち着き、ゆっくりと作品をご覧いただける雰囲気になってきました。週末や9月の連休はまた少し混み合いそうですが、秋の虫の音を聴きながら少しずつ長くなる夜をお過ごしいただけたら幸いです。




薄井隆夫さんの作品を初めて拝見したのは宇都宮美術館でのエスペール賞受賞記念の個展からで、そのあとカラカラでの2010年の佐藤陽香展にご来場下さった時にお会いしてからは、薄井さんの地元が宇都宮で発表の場も宇都宮が多かったのでほぼ毎回拝見してきました。10年以上経ちますが何年か毎に変わる作風に驚かされています。
2008年の宇都宮美術館での初期作からの展示では、基調となる色以外は抑えられた色彩と幾何学的な線で構成され画面の中で複雑に色が重なり透過もしくは反射、時には発光しているような印象を持つ抽象絵画でしたが、2010年の宇都宮ギャラリーインザブルーで発表された「コトトモノノマ」展では、窓辺に置いたボウルに張った水鏡に映る景色として制作されたシリーズに変化し、その絵画の中では線による空間性が消え水面のような平面性が増し、反射を感じさせる白いマットな表面の中で映り込みによる現象や光と、水の中の世界を想わせる奥行きが複雑に構成された絵画へと変化していました。
2021年ギャラリーインザブルーで発表された「畔から」以降、今年の「the view reflected」では、今回の個展でご覧いただけるような基調色以外は感じさせない画面の中で、目が慣れると風景や植物が見えてくる抽象とも具象とも取れるシリーズになります。
会期中にみなさんと一緒に現在の薄井隆夫作品を楽しみたいと思っております。


説明が長くなりましたが、会場で薄井さんの作品を紹介する感じで展示の幾つかをご紹介させていただきます。


このインターネットギャラリーでは展覧会期間中限定でショップページから作品のご購入も可能です。
遠方でご来場の難しい方などにもご利用いただけたら幸いです。

ただ、会場の照明と作品の性質上、写真と実物にかなりの違いが生じております。
ご購入をご検討の場合は、SNSやメールにてご連絡いただければ動画をお送りしますので遠慮なくご連絡ください。






キャンバスや綿布に描かれた油彩が10点。
黄色のみで描かれた抽象絵画のように見えますが、今回の作品は全て作家の庭の植物がモチーフになっているそうです。
ずっと見ていると目が慣れて絵の中に空間が生まれ植物が浮かび上がってきます。




こちらの作品は「箱庭の畔から」('20)です。

昔から絵画では光を表現する時に白や黄色が使われますが、黄色という絵具は距離が掴みにくく発光しているように目に迫ってくるので影の部分が黄色というのは極めて明度の差が少ない状況下で、黄色と認識される色の彩度のグラデーションで描かれていることになります。

朝顔が見えましたか?
このように写真に撮ると、最近のスマホのカメラなどは勝手にコントラストを調整してくれるので肉眼で見るよりも作家の描いているモチーフを浮かび上がりやすくしてくれます。実際の作品を会場でご覧になるともっと分かりにくいです(笑)そこが良さでもあります。



一度朝顔が見えてしまえば、その周りの草むらのような空間が見えてきますよね。
そしてそれが重なった風景のように複雑な空間を感じます。




もっと近づいて、作家の筆致を目で追ってみます。
非常に複雑に塗り重ねられているのが分かります。
オレンジに近い黄色から黄緑に近い黄色のグラデーションと、白とのグラデーション。マチエールはほぼ無く平面的に複雑に塗り重ねながらもエッジをボカシたりコントラストをつけたりという繊細な違いにより離れてみた時の視覚的な効果があることを感じます。








画面の外周が白くのはキャンバスの素地ではなく意図的に白く塗り潰されています。



こちらは最新作の一つで今回の展覧会の案内状に使用された作品「the view reflected2407」です。
先ほどの「箱庭の畔から」から4年経ち絵の雰囲気がすでに違ってきているのが分かります。





新作は共通して、黄色の部分の面積と色の奥行きがましているのを感じます。
抑えられた手数が効果的に風景を写しとっているように思えます。
前作は日光写真のように写し撮られた風景のように見えていたのに対して、新作は具象のような抽象絵画というようにも取れます。



こちらのモチーフはカランコエという植物だそうです。
確かに画面下にある大きなカランコエの葉から茎が伸び花が咲いている姿が浮かびます。

他にも、展示作品は全て実在の植物(作家の庭の植物)がモチーフになっており、紫陽花、葉牡丹、立葵、花大根などがあります。
気になる作品がありましたら気軽に聞いてください。




玄関横にある青い作品のうちのこの3点はアクリル絵具で描かれた作品です。
黄色い絵画に対して、青い絵画の方が見えやすいと思います。






こちらは「うつるけしき 朝顔の庭02」2022年の作品です。
大きな朝顔が見えたあとは、その手前の草むらのような茎と葉、尖ったガク、奥に抜ける空間とその奥にある四角い矩形が見えてきます。






一時期、筆が持てない時があったそうで、その時にエアブラシを使って描いたシリーズだそうでアクリル絵具で描かれています。




青は濃ければ影として認識しやすいので黄色よりも空間として見えやすいですね。
繊細な表現と空間を写真のように描く技術が感じ取れます。 逆に、黄色であの空間性を絵画として再現できる薄井さんの眼が信じられないです。どんな眼をしているんでしょう。


この青いシリーズを見て思ったのは、黄色いシリーズにも共通しているのですが、これは「青写真」(日光写真)を意識されているんじゃないか、ということ。まるで写真のように風景を描いているのではなくて、青写真を見た時に感じるリアルと絵画の中間というか、一見単色で平面的なのに写し取られた世界の中に鑑賞者が入り込めば空間が広がって行くような感覚というか。
水鏡に映った景色を描かれていた時から共通して「映す」「写す」ことは、今展名にある"Reflection"「反射」「反映」「映像」といったことに通じているのだと思いました。




会場でスマホで写真に撮って見ると分かりますが、写真と実物はかなり印象が異なります。

機会が合いましたら、ぜひ会場で実物をごゆっくりとご鑑賞ください。








全13点。
会期は10月2日(水)まで。
皆様のご来場並びにご高覧を心よりお待ちしております。















薄井隆夫 個展 "THE VIEW REFLECTED" 

2024年08月03日(土)ー 10月02日(水)

Open 16:00 - Close 23:00 L.o.22:00 木曜定休


※バーのためお席のご予約はお酒のご利用のお客様のみとさせていただいております。ご来店時に空席ありましたらカフェ的にお使いいただくことも可能ですがお食事目的のご利用はご遠慮いただいております。ご理解いただけますと幸いです。

※作品のご売約はお電話、メール、SNSでも承っております。
※お住まいが近隣の場合は会期終了後の納品も可能です。お気軽にご相談ください。
※ショップサイトでのご購入には梱包料を含めた送料が必要となりますが、店頭受渡しをご選択いただくことも可能です。
※不明な点はお気軽にお問い合わせください。






【お問い合わせ】

Bar+Artgallery 殻々工房 カラカラコウボウ

phone: 0287781100 (pm16:00-23:00)
email: karakarafactory@gmail.com
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「うつるけしき 5 月 02」2022


S0 H18.0cm×W14.0cm
綿布・パネル・アクリル


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「うつるけしき 5 月」2022


S0 H18.0cm×W18.0cm
ワトソン・パネル・アクリル


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「うつるけしき 朝顔の庭02」2022


F10 H45.5cm×W53.0cm
綿布・パネル・アクリル・方解末


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「ペチュニアの庭02」2022 ~ 2024


F4 H24.2cm×W33.3cm
キャンバス・油彩


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「the view reflected2409」2024


S3 H27.3cm×W27.3cm
綿布・パネル・油彩


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「コトトモノノマ ハボタン02」2019 ~ 2024


F6 H41.0cm×W31.8cm
キャンバス・油彩


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「the view reflected2408」2024


S8 H45.5cm×W45.5cm
綿布・合板・油彩


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「the view reflected2410」2024


S3 H27.3cm×W27.3cm
綿布・パネル・油彩


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「the view reflected2412」2024


H182.0cm×W45.5cm
キャンバス・合板・油彩


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「箱庭の畔から」2020


F15 H65.2cm×W53.0cm
キャンバス・パネル・油彩


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「the view reflected2407」2024


F10 H53.0cm×W45.5cm
綿布・合板・油彩


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「コトトモノノマ アジサイ1901」2019 ~ 2024


F6 H41.0cm×W31.8cm
キャンバス・油彩


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「the view reflected 2411」2024


S40 H100.0cm×W100.0cm
綿布・合板・油彩


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薄井隆夫( うすいたかお)

1971 年 宇都宮市生まれ
1996 年 筑波大学大学院修士課程芸術研究科美術専攻 修了
1993 年 柏市文化フォーラム104 大賞展 TAMON 賞 優秀賞
1997 ~ 2001・03・04 年 ART WALK in Tochigi(オープンスタジオ)
1998 年 個展「室内植物」( アートギャラリーつくば/ つくば)
2000 年 個展「scale of the forest」( アートギャラリーつくば)
2001 年 千年の扉(栃木県立美術館)
2002 年 第 21 回 安田火災美術財団選抜奨励展( 安田火災東郷青児美術館)
2004 年 VOCA 現代美術の展望 - 新しい平面の作家たち-( 上野の森美術館)
2006 年 第5回 宇都宮エスペール賞受賞
     福島現代美術ビエンナーレ(以降08 年参加)
2007 年 個展「遠浅の水辺」(ギャラリー・イン・ザ・ブルー/ 宇都宮)
     LE DECAGON(Espace Cultural Bertin Poire/Paris)
2008 年 薄井隆夫展 -in the shallow water-( 宇都宮美術館)
2009 年 東武宇都宮創業50 周年記念 栃木の蒼星展Ⅳ 薄井隆夫展(東武宇都宮百貨店)
2010 年 個展「コトトモノノマ」(ギャラリー・イン・ザ・ブルー/宇都宮)
     Tochigi art exposetion(The Nippon Gallery/New York)
2012 年 開館40 周年記念企画2 復興祈念「 光あれ! - 光と闇の表現者たち-」(栃木県立美術館)
     個展「コトトモノノマ-kitchen garden」(ギャラリーイン・ザブルー/ 宇都宮)
     R293 美術展(佐野)(以降13・14・19・21 年参加)
     旧篠原家住宅アートデイ( 旧篠原家住宅/ 宇都宮)( 以降13・15・17・19・21・23 年)
2014 年 個展「コトトモノノマ- 器に掬う景色-」(ギャラリー・イン・ザ・ブルー/宇都宮)
2015 年 ゲタ箱展( 大田原市芸術文化研究所)( 以降~ 23 年)
2016 年 個展「器に掬う景色2016」( ギャラリー・イン・ザ・ブルー/ 宇都宮)
2018 年「 薄井隆夫・小倉孝夫 - 重なる位相」( ギャラリー ファンタジア / 佐野 )
     東アジア交流展( 隠岩美術館/ 光州)
    「 それぞれの地平」( たから園現代工芸 / 小山 )
2019 年 第5回宇都宮美術の現在展( 宇都宮美術館)( 第2回~ )
     個展「畔に佇む」( ギャラリー・イン・ザ・ブルー/ 宇都宮)
     CON 展 en Ashikaga 2019( 旧足利館内/ 足利)
2021 年 AWANO 夢咲く ART FESTIVAL( 旧粟野中学校 / 鹿沼市)(22・23 年小品展参加)
     個展「畔から」( ギャラリー・イン・ザ・ブルー/ 宇都宮)
2022 年 薄井隆夫展( ギャラリー ファンタジア/ 佐野)
2023 年 碧―AO 伊藤七男・いわつきさやか・薄井隆夫・鈴木雄高久加奈子 ( たから園現代工芸/ 小山)
2024 年 個展「薄井隆夫展―the view reflected」( ギャラリー・イン・ザ・ブルー/ 宇都宮)
     他 現在 宇都宮市在住 作品収蔵 柏市

                                 2024年8月現在