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杉浦非水の眼と手/宇都宮美術館

20091219400.jpg宇都宮美術館で「<写生>のイマジネーション・杉浦非水の眼と手」展を見てきました。僕ははじめて知ったのですが、杉浦非水という人は日本初のグラフィックデザイナーとも呼ばれているそうで、図案家として日本に於ける「商業デザインの先駆者」なのだそうだ。この展示は、その仕事の数々と、スケッチ(写生)や「非水百花譜」などが展示されていました。展示されている作品の多くは宇都宮美術館所蔵の作品で、ポスターコレクションが豊富と聞く宇都宮美術館ならでは企画展という感じがしますね。
「非水百花譜」が良かったなぁ。「非水百花譜」はこのチケットにもなっている植物の「多色刷り木版」と、植物のシルエットを単色刷りの木版で作品にした「投影写生図」、モチーフとなった植物を非水が撮影した写真と写生場所や日時、植物についての詳細な説明が印刷された「解説」、の3つで構成されています。
会場では「多色刷り木版」と「投影写生図」のみが展示されているように見えたのですが、数えてみたら「多色刷り木版」が100作品あるのに「投影写生図」が98作品、「解説」が2作品しかない.....で会場係の方に聞いてみたら、「投影写生図」の裏面に「解説」が刷られているのだそうで、展示された2つの「解説」の裏に残りの「投影写生図」があるのだそうだ。
どうりで、「投影写生図」の表面には文字をプレスした跡のような凹凸があって気になっていたところだった。
カタログに載っていた非水の言葉が気になったのでメモ。
.................................................
「1つの花を写生するからにはその花即ちその植物本来の生育状態やその習性やを根本的に観察しておく必要がある。でなければ、たとひ写生をしてもそれは花の色々その姿態を識るだけで、自然の生命に触れることは出来ないのである」
..................................................本展カタログより抜粋。

ついでにもうひとつメモ。

................................................
「(略)乍然、其出来上つた写生図は実際、実物を写生する時の私の眼の記録であつて、私の実物に対する心の印象そのものではない。私の写生図を展げて見る場合に、私にのみ与えられる恵は、其実物を深く味わつた時の印象を、再び呼び起こしてくれる私の記憶であるのであります。故に、この出版された図譜は、私以外には私と同し程度の興趣や印象を得られるわけはありません。同時に芸術品として、見て戴く積りは無論ありません。古来から沢山ある花卉画譜類と云う意味で、何等かを世に提供すると見れば、私としても、多少心の安らかさを覚えるわけではあります。若し自身の写生図と他人の写生図とを同程度に扱ひ得る人があるとすれば、その人は心の盲目です。参考書の意味に理解の無い人と言ひ得るでせう。私が既に獲得した花卉の情趣や其命は、かうした出版物で、世に提供する方法を持ちません。世に多くの植物画が、只単に植物学者のみの参考資料であつて、概して片弁細枝の部分的写生に流れ、我々画家が常に其物足りなさを感じて居ること。世に多くの花鳥画譜が、あまりに其流派的の筆意に拘泥して、其実態を攫んで居ないこと。などに対して、聊かでも、本図譜が何等かの意味を持つとすれば、私の満足は此上もありません。」
................................................本展カタログより抜粋。


購入したカタログに「非水百花譜」も載っているんだろうと思いながら確認もせずに購入してみたら一部しか載っていなかった。う〜ん、残念。

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2009年12月21日 00:00に投稿されたエントリーのページです。

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