このところ雑用が多くせわしくて、戸口の草木も放埒な成長を見せている。
足の踏み場のない部屋に居所を作るように雑用の隙間を拡げなければ、
床も時間も見つからないものなのだと思うこの頃。
今日こそはやるぞ、と作業着を着て戸口に立ってみる。
さすが8月、やや暑い。
まずはイメージトレーニング。
枝切り鋏を手に持ちながら半眼になり、
映画「シザーハンズ」のジョニーデップを思い浮かべる。
エドワードのように間髪入れずにシャキシャキ刈り込むのだ。
イエス、アイ キャン!
雪柳、日向水木、小手毬、梅桃、、
寄せ植えた庭木を迷いなくザクザクと刈り込んでみる。
明らかに刈り込みすぎたが、気にしない。
そう、シザーハンズのジョニーデップはいつもクールだ。
そういった意味でイメトレは成功していたと言って良い。
ふと、
見上げると玄関に掛かる木の枝に赤い実が2つ付いている。
そういえば、あれはプラムの木だった。
これはこれは、棚からプラム、ヒョウタンからプラム、早起きじゃないけどプラムの徳。
するとそこに、
近所の方が声を掛けてくるではないか。
振り返ると黄色い玉を持っている。
夏子夏(ナツコナツ)というのだそうだ。
頑張ってるからお裾分けなのだそうだ。
プラムの収穫量よりも多いではないか。
するとそこに、
車が止まり、男が声をかけてくる。
お店の方ですか?
はい、そうですげど?(なんとなく訛ってみる)
あのぅ、チラシと割引券を持ってきたんですけどぉ。
はぁ。
いらないです、とも言えず受け取ってみたのだ。
入ったこともないこんな怪しい店に割引券を置こうなんてどうなっても知らないよ。
するとそこに、
バイクが勢い良く止まり、こんにちはー!と声を掛けてくる。
郵便局の配達の方でした。
どうもお世話様です。
封書が一通。
クレジットカードの請求書。
さぁさぁ、
いただきものが良くない方向に向かっているから、そろそろ家に入ってプラムでも食べよう。