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DOWN BY LAW

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1986年のジム・ジャームッシュ作品。
トム・ウェイツ、ジョン・ルーリー、ロベルト・ベニーニ主演。
なんとなくタイトルだけは知っていて、なんとなく見る機会もなく、ある日なんとなく手に取って見たら、映画の凸と自分の凹がピッタリ合った、なんてことがたまにある。
好きな映画がひとつ増えた。

脱獄した3人の男は、たぶん、湿地の森で、ワニに喰われるか犬に噛まれるかして死んでしまったんじゃないかな。
ベニーニ演ずるイタリア人のボブが刑務所の壁に窓の絵を書いて、
「これは英語ではなんと言う?窓から見る?窓を見る?」と聞いた時、
ルーリー演ずるジャックは、「この場合、窓を見る、だな」と答えた。
窓の内側にいるのか外側にいるのか、彼らは社会の外にはじき出されたのだから、外側に立って窓を見ているってことなんだろうけど、それは、彼らが次に塀の外に逃げ出すことの伏線、そしてついにはこの世の外に出るということの暗示でもあるように思えた。

彼らが森で迷って、ボブが、英語で覚えた言葉のすべてをメモした手帳をいつの間にかなくしていることに気がついた時、すでに彼らは、この世にはいなかったのだと思う。
追っ手は来ない。迷路のような沼と森は突如開け、そこには1本の道があり、道の上には一軒の店があり、店にはひとりの美女がいて、不安も疑いもなく、ごちそうとワインが供される。
ボブは彼女と夫婦になって、ザック(トム・ウェイツ)とジャックは朝日の中を旅立つ。
あるはずの道路標識がない。
ひと気の無い2本の乾いた道を、2人は別々に歩いて行く。

ダウンバイロー、ってどういう意味なんだろうと、翻訳サイトで調べてもピンとこない。
いろんな人がこの映画について書いたサイトをあれこれ見ると、それはスラングで、「ひとりでも生きていける人」とか「親友」を意味する、とあった。
ほんとうにそうなら、別々の道を行きたがるザックとジャック、そして彼らを「マイ・フレンド」と呼ぶボブ、それぞれが、ダウン・バイ・ローってことになる。
モノクロームの光と影、哀しく可笑しい、心に残る映画だった。

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Comment(4)

OIL:

そうなのよね。
僕も彼は他の世界に行ったんだと思ったよぉ。
イタリア人女性が親と恋人の両方を同じ日に失ったって辺りで確信したな。いろいろと伏線が分かり易く張られていてゆっくり観られる映画だったなぁ。もちろん、この解釈で合っていればの話だけど....。

WATER:

うんうん、霧の中の風景を思い出した。
ドイツ行きなんて、存在しない列車に乗るところからもう別の世界に動いてるっていう、夢の中に誘われるような感じ。
またジャームッシュを借りたので、一緒に見ましょう。

fuRu:

OILさんとWATERさんの会話をこっそり聞いている感じで
なんだか、耳を澄ませてしまいました。

WATER:

いやん。

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2007年04月06日 18:50に投稿されたエントリーのページです。

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