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ルーブルを断片的に回想 4 ヘルマフロディトスとベルニーニのマットレス

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何とも官能的な「眠るヘルマフロディトス」です。
紀元前300〜100年のヘレニズム時代のギリシャ美術の彫刻がルネッサンスのローマで見つかりそれをコピー、ボルゲーゲ卿がベルニーニに注文して大理石のマットレスの上にのせたのだそうです。
ヘルマフロディトスの神話を元にした作品は彫刻だけなく絵画にも描かれておりますが、このへルマフロディトスは何ともエロい。やはり、それはベルニーニのマットレスの仕業なのだと思うわけです。さすがベルニーニ。

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へルマフロディトスの神話を知らずに反対側に回るとドキッとします。
へルマフロディトスは両性具有となった神です。
こちら側から見ると、自分の変身した姿に苦悩する青年の、眠るに眠れぬ姿が、脚に掛かったシーツや体のうねりで表現されている。背中から見た美しい若い裸の女性の横たわる姿から、正面に移動した時の、視覚的な衝撃と青年の心の葛藤を感じる動き、鑑賞者の見る角度によって展開する物語のような主題と作品です。

簡単に神話の説明をしておくと、へルマフロディトスは神ヘルメスと神アフロディーテの息子。ある日、彼は森の妖精の泉に行くと彼を見た妖精サルマキスが彼に一目惚れしてアプローチするも彼はそれをきっぱり拒む。拒まれたサルマキスは引き下がるものの彼のことが好きでいる。ある日、彼は服を脱ぎ泉で水浴びをする。それを木陰で見ていたサルマキスは、見つからないように服を脱ぎ泉に入り彼に襲いかかりキスを浴びせ、神々にこのまま彼と永遠に一緒にいられますように、と祈る。その願いはゼウスに届き、叶えられてしまう。2人の男女の姿を1つにした姿のヘルマフロディトスとして。恥ずかしさと悲しさに暮れる彼も祈りを立てる。この泉の水を浴びた者も、皆自分と同じ姿になってしまえと。それ以来、その泉に入った男は不能になるのだという。
さすがの悲劇っぷりです。

ヘルマフロディトスの足に掛かった布とマットレスの質感のシュールな出会いが、僕にはこれをより印象的に見せているように思える。
ただ、このヘルマフロディトス、裸体の美しさと視覚的なインパクトは十分なのだけど、中身が男性なのに動きも見た目も完全に女性、女性に男性性器がつけられたように思えてしまうのが、主題からしてどうなんだろう、と思う。

それにしても、ベルニーニの表現はリアルだな。
何だかベルニー二のマットレスを見ただけでまたローマに行きたくなってきた。

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2014年02月27日 17:23に投稿されたエントリーのページです。

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