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ネロの黄金宮殿・ドムスアウレア

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コロッセオの北東の丘にあるコッレ・オッピオ公園内に、ローマ帝国第5代皇帝ネロが建てた黄金宮殿・ドムスアウレアの一部が残っています。
ドムスアウレアは、紀元64年のローマ大火後、コッレ・オッピオの丘を含むエスクィリーノの丘に建てたれた広大な宮殿で、南の窪地には大きな人工池も作られました。
密集した住居に暮らしていたローマ市民にとっては大顰蹙だったらしいです。68年のネロの自死後の104年に宮殿は火災に遭い、疎ましく思っていた時の皇帝などによって宮殿は次々に壊され、地下は土砂に埋められ、敷地は公共の浴場などの建築用地に転用されたそうです。コロッセオもその人工池跡の窪地に建てられました。この辺り、アースダイバーにはご馳走でざいましょう。現在、比較的まとまって見られるこの部分はトラヤヌス浴場を建設する際に埋められた部分の一部だそうです。
16世紀のルネッサンス期、多くの人がドムスアウレアのお宝を探しに地下に穴を掘り潜り込んだりするなか、ラファエロも潜り込んだ宮殿地下のヴォオルトに描かれた装飾を見て、ヴァチカンの内装に取り入れました。これが「グロッタ(grotto)で発見された古代美術」ということで後にいわゆる「グロテスク」装飾と呼ばれることになったそうです。そして現在ヴァチカンにあるラオコーンもここから発掘され、当時、ミケランジェロに大きな影響を与えたそうです。

ガイド付き見学のみの完全予約制とあったから日本からオンラインチケットを購入、見学の時間は決まっていて回によって、イタリア語、英語、スペイン語と分かれています。ちなみに、こちらのサイトから予約と決済ができ、プリントアウトして時間前にこのゲートに持っていけばチケットに交換してもらえます。
12時の英語ガイドツアーを予約、ちょっと前にゲート前に到着。
たぶん、オフシーズンであれば、ここで、次の回空いてます?と聞けば入れそうな気もしますが、団体のツアー予約もありそうなのでやはり事前予約が確実かと。

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スタート時間前に集合してヘルメット装着。レッツらドン。

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入り口でまず、注意事項や全体の説明などあります。
崩落事故なども可能性もあるから、遊びじゃないのよ、という雰囲気になります。

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黄金宮殿 Golden Houseとは呼びますが、きらびやかな眺めはなくナショジオ地下探検といった雰囲気です。

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見所で立ち止まり説明があります。
内部は足場パイプで補強され、また雨水が染み出してきたりしています。

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フレスコによる装飾跡。

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モザイクは所々残っているので、双眼鏡などの持参がオススメです。
天井のヴォオルトに空いた穴が、地上からお宝探しに潜り込んだ輩によるものもあるそうです。土砂に埋められ、雨水も垂れ流しという状況だったので藻による損傷もあります。

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それなりのアップテンポで進みますが全体で1時間半近く掛かります。
英語についていけなかった場所は説明を写真にとりました。こっちのほうが肉眼よりも良く見える。。

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こんな感じで埋まってたのかな。

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ローマンクンクリートによるヴォオルトのある広い地下空間です。
迫力あります。

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このヴォオルトに描かれたフレスコによる装飾がグロッタです。
ヴァチカンやそのほかの宮殿の天井に幾つも見られるものです。元はこれなのかー。人と動物と植物の連続する装飾模様。日本人が「グロテスク」から連想するイメージとは違いますね。

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古代のコンクリートによるドーム天井の八角形の大きな空間、ここにきて久しぶりに自然光を見ました。
この時代の建築のパトロンとして、新しい建築技術を次々に宮殿に取り込むネロはさすが、詩人(今でいう芸術家)としての面を伺わせますね。
暴君と呼ばれるネロ、確かにブリタンニクス、母のアグリッピナ、妻のオクタウィア、セネカなどを殺害したとされるから酷いものですが、竪琴を弾きながらの自作の詩を民衆の前で歌ったり、憧れのギリシアに訪れたり、なかなか憎めない部分をもつネロです。
多神教だった古代ローマのネロが、64年のローマ大火の犯人として疑われ、それをキリスト教徒の仕業として迫害したことに対する恨みが、その後キリスト教化する世界のなかで暴君と呼ばれ続ける理由だったような気もします。

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塞がってますが、パンテオンを思わせますね。

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赤い天井の部屋、ちょっと不気味。。

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出口です。
内部にある説明のマップの現在地を見ると、大きく分けて東ウイングと西ウイングの2つに分けられているようでした。ガイドについて回っていると方向感覚がなくなって分からなくなりましたが、西ウイング中央から入り、東ウイングに移動して、最後に一番西に戻ってくるという感じだったと思います。

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さすが奥が深いな、ローマ。

Il cantiere della Domus Aurea
http://archeoroma.beniculturali.it/cantieredomusaurea/

オンラインチケットDOMUS AUREA PROJECT. VISIT TO THE WORKSITE /coopculture
http://www.coopculture.it/en/ticket.cfm?office=Domus%20Aurea%20Project&id=0&evento=268

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2015年02月27日 12:11に投稿されたエントリーのページです。

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