冬のはじめに葉を落とした木々の多くが息を潜めるように幾月か過ごし、雪解けの水を静かに吸い上げながら目を覚ます姿を目にする。
いよいよ春がくるんだな。
固く握っていた胸の中の拳から 力からすっと抜けていくようだ。
日が昇っても氷の溶けない世界に体温を奪われまいとしたり、白い頭の那須山から吹きつけられる暴力的な風が通り過ぎるのをじっと待つことがなくなるからなんだろう。
ぼくの庭では、この黄色いヒュウガミズキの蕾や、土の表面から小さく鋭く突き出たチューリップの葉の先がその切っ掛けのひとつ。
もうすぐ、那須にも春がやってきます。