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野沢二郎展・雨後/コバヤシ画廊

20081024001.jpg銀座、コバヤシ画廊で野沢二郎さんの個展「雨後 After Rain」を見た。
これがとても良かった。
いつものテーマというかタイトルは自然を構成する何かが用いられていることに変わりはない。これまで拝見した作品を振り返ってみると、個展に際して、技法というか画材は、変形キャンバスにアクリル絵の具を使用した頃から、油絵具に代わり、筆の代わりに指や掌を使うようになり、今ではシルクスクリーンなどで使うスキージを使用されるようになっている。それは、画面の上で格闘しながら制作する上では絵具が乾くまでの時間が必要なのと、わざとらしい器用仕事は必要じゃないから手先が記憶してしまった癖を疎ましく思っているように思えた。
もちろん、表現にある程度の技術は必要だし、これは技術を持っている作家ならではことで、技術を伴わない表現を見せられるのは迷惑な事もある。あ、話が逸れた。
作品の色味が変わってもそれは模様替えみたいなもので画面や絵具の質はそれほど変わらないことは良くある。
今回の作品の大きな変化にマチエールがある。何かが画面の上を滑らかに滑る。その滑らかな表面には引き摺られた絵具が景色となって現れ、現れた絵具の透明度によってはその直下の絵具も現れて層となる。
水面とは水と空気という異なる2つ世界が出合い、お互いの世界が映し出されるドラマチックな部分だ。それと今回の水をテーマにした作品の絵肌がピタリと合う。この表面に手を加えすぎるとそのリアルな景色は消えてしまうのだろう。だからこそ余計なものを加えずに見せてくれているのが心地よく、技術の高さを感じるのでした。
ぜひ、多くの方に見て頂きたい......といっても、会期は昨日まででした。エントリー遅し。

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Comment(2)

niro:

遠方来て頂きありがとうございました。何よりありがたいのは、コメントの内容の深さから、時間をかけて、じっくりと、丁寧に、作品を見て頂いていることがわかることです。
作り手としてはそれが何より、ですね。マチエールへの思いが伝わってうれしいな~。

OIL:

niroさん、コメントありがとうございます。ご無沙汰してますm(_ _)m
質の高い、伝わる表現を目にするのは鑑賞者として幸せなことです。
はじめDMのカラー面を見て「After Rain」って何だかセクシーで、ジャズアルバムみたいなタイトルだなぁ、と思ったんですが、切手面の「雨後」にniroさんを見つけました(^_^;)

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2008年10月26日 15:59に投稿されたエントリーのページです。

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