昨日で終わってしまった茨城県近代美術館の「耳をすまして-美術と音楽の交差点」展に会期ギリギリで行って来ました。とてもいい企画展だったと思う。
2室ある展示室を使って2部構成とし、1部では音楽や、それらから受けたインスピレーションを視覚化した作品の展示。2部では音を取り込んだ作品の展示が見られる。
音に関する作品たちが日本全国の美術館から集められているのも素晴らしい。出展作品リストがPDFになってたので添付しておこう。
1部ではマックス・クリンガーによる「ブラームス幻想 作品12」からの版画集など具体的な音楽の視覚化、カンディンスキー、マティス、クレー、国内では恩地孝四郎、難波田龍起、駒井哲郎、堂本尚郎などの作品が並び、具体的な音源があるものに関しては壁掛けされたヘッドフォンから音楽を聴きながら作品を見て行くことができる。
話は逸れるけど、国立近代のカンディンスキーの油彩「全体」、欲しい。
2部ではジョン・ケージの「4分33秒」の紹介と版画作品群からはじまり、藤本由紀夫、八木良太、金沢健一などなど、体験型の展示が多い。藤本由紀夫の剥き出しのオルゴールのゼンマイを巻いてステンレスの回転蓋付きのゴミ箱の蓋の上に載せる作品は、オルゴールが振動で移動してゴミ箱の中にゴトンと落ちて鳴り続ける。その曲が浜崎あゆみだったり流行歌なのがいい。八木良太の氷のレコード「VINYL」は実演もあってタイミング良く聞く事が出来た。プレーヤーに載せられた氷に針を下ろすとノイズの中からドビュッシーの「月の光」が流れてきた。音は数分でノイズだらけになる。他にも八木良太作品が面白かった。「In Secret (Talk / Insect)」は壁に掛けられ回転しているレコードに、虫ピンや釘、ビスなどを押し当てて音を聞く作品。1つは人の声が、1つは虫の音が聞こえてくる。砂時計の砂の落ちる音をイヤホンで聴く「Timer」は砂の落ちる音が血液の流れのように微かに聞こえる。3つあるうちの1つは音が聞こえないらしいのだが会場係の方に教えてもらわなければ分からなかったりする。「机の下の海」はワイヤレスヘッドホンから流れてくる音が机面の上と下とで海の上と中の音に切り替わる。どれも体験の内容を想定出来ていたとしても、実際にやってみると軽い興奮を覚える作品だった。
水戸という場所柄か会場が空いているので、こういった体験型の作品がゆったり楽しめるのは素晴らしい反面、いい企画なのに勿体ないという思いもある。
この企画展の図録には限定400部に特別付録CDが付いている。会期終了間際なのにCDもゲット出来てしまった。嬉しい.....でも複雑。