ブラブラ散歩しながらカ・ドーロまで来た。
カ・ドーロの内部はフランケッティ美術館、その入口が分からずカナルグランデまで出てしまった。外観で最も装飾を施されているのはカナルグランデに面しているから水上や対岸からでないとその全景は見えない。直ぐ隣りにある水上バス乗り場から覗き込むようにカ・ドーロを見る。
カ・ドーロは1430年に建てられてから数人の所有者の変遷を経て、1922年にジョルジョ・フランケッティ氏から国に遺譲、改装の後、今はGalleria G.Franchettiとして中に入ることができる。カ・ドーロ横の細い路地にギャラリーの玄関があった。川から見た装飾的な感じと違って、現代的ね。
2階、3階がギャラリースペースになっていてそのスペースの先にある川に面したベランダにも出る事が出来る。
そのベランダにはヴェネツィアの教会でよく見た円を繋いだ派手さのないシンプルなステンドグラスが嵌め込まれていた。ペアガラスになっていて内側はガラス板、外側がステンドグラス。
この建物、屋内で床に足で力を入れると揺れるのだ。展示室内で体を揺すってみるとガラスのショーケースが音を立てる。ちょっと不安。
日本語のガイドブックではフランケッティ美術館となっていて、マンテーニャの「聖セバスティアーノ」や、カルパッチョの「受胎告知」「聖母の死」、シニョレッリ、ティツイアーノなどなど見られるけど、コレクション全体を見ると美術館というより博物館に近いのかもしれない。
昨年見に行った江戸東京博物館での「ヴェネツィア展」で見たのだけど、ヴェネツィアのこのような邸宅では1階は湿度が高いという理由から絵画の保管や居住スペースは2階か3階にになるのだそうだ。このカ・ドーロの一階部分には中庭があり突き当たりには川に面した個人の船着きスペースがある。
つまり川に面したファザードの中央はポルチコというかロッジアになっていて、一階は川への玄関、2階、3階はベランダになっている。そして居住空間のない一階では中庭まで空間は続き、それを太い柱が支えている。蒸し暑い夏は風の吹き抜けるこの地階のロッジアで涼んだりしたのだろうか、それとも厩かな。
中庭には井戸がある。海に囲まれたこの島には水道がなかったから雨水を貯めて濾過し生活に使っていたのだそうだ。沢山の井戸があちこちの広場にあったけど、ここ個人宅にも井戸があった。カ・ドーロに来てヴェネツィアらしい上流階級の邸宅を見られたなあ、という感じ。
やっぱり美術館というより、この建物の印象のほうが記憶に残る。
Galleria Franchetti alla Ca’ d’Oro
http://www.cadoro.org/sito/home.html