今回の島巡りの中でも楽しみにしていたトルチェッロ。
ムラーノ島からブラーノ島に着いたんだけど、暗くなる前にトルチェッロに行きたかったからブラーノの散策は後回しにして船着き場に停まっていたトルチェッロ行きのボートに乗り込んだ。ヴェネツィア本島からの水上バスとは異なり、細身のクルーザーのような船だった。この船はブラーノとトルチェッロを往復するだけみたい。
オフシーズンだし夕方近いこともあり、人は疎ら。
この島はヴェネツィアの干潟に浮かぶ島のなかで最初に人の住みはじめた島なのだそうだ。最盛期にあたる7〜10世紀には2万人越える人が住んでいたそうだけど、マラリアの蔓延によって人々は他の島々に移住、建物も解体され運び出されたそうだ。今では10世帯くらいしか住んでいないらしい。
船着き場から運河に沿って歩く。
それ以外に道がないのでみんな同じ方向に向かっている。
この先にサンタ・マリア・アッスンタ教会とサンタ・フォスカ教会がある。
ここに2万人が住んでいたとは思えないくらい何もない。
空からは小さな鳥の高い声、薮の中からは濁音混じりの声の鳥が鳴いていた。
とても静かでいい感じ。
運河沿いに進むと家が見えてきた。
農作業小屋のようなバラックも。
ニワトリが放し飼いされている。
この土地の隣りはレストランだったから、もしその店に入ったら間違いなく鶏料理を注文しただろう。食材を仕入れるといってもこの島では買えないだろうから、こうして飼いながら食べる分だけ絞めるというのが合理的で自然な形だろうな。
教会が近づくにつれレストランが増えた。
10世帯のうちの何世帯かがこの運河沿いにあるとして、そのうちの何軒かは観光に関わる仕事なんだな。
サンタ・フォスカ教会に着いた。
建物の回りはこのしっかりとした柱廊(ポルティコ)の下を回ることができ、アッスンタ教会にも繋がっている。どちらの教会も中は撮影禁止だったので外観のみ。
入口は1つではなく、別の入口もさっきとそっくりの顔をしていて複数のファザードを持っている。
サンタ・マリア・アッスンタ教会。
この中の空間が素晴らしかった。撮影禁止なのが残念。
ムラーノのサンタ・マリア・エ・サン・ドナート教会で見た聖母のモザイクと同じ構図で聖母子のモザイクがある。とても良く似ているんだけど、アッスンタの聖母子像のほうが空間から感じる緊張感が高い。これを神々しさとでも言うのだろうか。暫し放心。
自分が少し落ち着いてきたのか、空間とモザイクとのバランス、高さなど、神々しさを表現する構成要素ということを考えているうちにあっという間に時間が過ぎた。
聖母子像の反対面の壁には巨大な「最後の審判」のモザイクがあった。これがまたスゴイ。
聖母子像は余白を活かした神聖なイメージなのだけど、最後の審判は地獄の様子。
かつて、マーク・ロスコがここを訪れ、ここから得たインスピレーションからヒューストンにあるロスコ・チャペルRothkoChapelが作られたという話もあるそうだ。
撮影禁止とはいえ、ネット上には沢山の画像があるわけで、一応、画像検索のリンクを貼っておこうかな。あとこちらのサイトは写真がいっぱいですね。。
この教会の周りだけが、かつて人が沢山住んでいた頃の面影を残しているのだそうだ。
暖かい季節に来ればブドウ畑が美しいのかもしれない。
ここで作ったブドウで出来たワインって飲むことができるんだろうか。
教会の先まで散策してみる。
流石に誰もいなくなると不安になって来たので船着き場に戻ることにした。
最終が行っちゃった、なんてなったらそれはそれで楽しそうだけど....そうなったら、どこか泊まれるのかな。
船着き場に戻ると、何人かが小屋の中でボートを待っていた。
流石に真冬、陽が沈むと肌寒くなってくる。
この島にはヘミングウェイが一年くらい住んでいたとWikipediaに書いてあった。どの店で飲んでたのかな。行ってみたいけど.......帰らなくっちゃ。
ブラーノに戻って、時間があったら散策しよう。
ヴェネツィア本島からけっこう遠くまで来たもんだ。
Torcello/ Wikipedia
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