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ルーブルを断片的に回想 2 ミケランジェロ

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本日の現実逃避のお時間です、という感じです。
ミケランジェロです。
ヴァザーリの列伝の日本語訳曰く「ルネサンス期の芸術における頂点」のミケランジェロです。
彫刻、絵画、建築、詩、と、同時期の芸術家ダヴィンチ同様マルチに作品を遺しましたが、作品数はそれほど多くなく、またそのほとんどはイタリアにあるので、フランスでオリジナルが見られるというだけでもさすがルーブルだなと思うわけです。
この「奴隷」は2体1組で、右が「瀕死の奴隷」左が「抵抗する奴隷」。左は未完成なので右の奴隷だけが良く目にするんでしょう。あ、これ見たことある〜♪ と、撮影スポットの1つではあります、が、しかし、モデルが奴隷ですからそれなりの。

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「奴隷」を目のまえに妄想した2つのこと。
1つは、作りかけとはいえ、この抑えられ抗う腕の筋肉の隆起が、大理石から筋肉に変わるドラマチックな瞬間を想像。ミケランジェロは型などは使わずに、石の塊からノミで像を削り出します。彼は、芸術家の抱く観念、着想は、もともと大理石の塊のなかに内在しているという考えで、プラントン主義哲学の芸術家、であると同時に、またそれを形にすることのできる高い技術も持ち合わせた芸術家なわけです。抵抗する奴隷の筋肉はまだざらついてはいるけど、もうそれは大理石ではなく力に満ちた男の筋肉になろうとしている。

もう1つは、ミケランジェロの政治的思想との関係と真意を妄想。
もともとユリウス2世の墓のために作りはじめた「奴隷」だけど、奴隷を押さえつける力は何を意味しているんだろう。
フィレンツェのメディチによって才能を見出され、メディチの家に住み、芸術家として成長することの出来た彼は君主制を握ろうとするメディチとは反する共和制主義者であり、またメディチはそれを知りながらも彼に仕事を依頼するという彼の才能に魅せられたパトローネスだった。
ミケランジェロの作ったダヴィデは、君主制に対して立つ市民の象徴とも言えるような、静かに力を漲らせる青年の像であり、それを市庁舎前の広場に設置するという社会的メッセージを持った設置をされている。そしてヴァチカンからの依頼で作ったピエタなどに対してミケランジェロは、キリスト教と異教との調和を想っている。それはピエタの姿に宗教の壁を越えた真理を映し、それに僕は心動かされたのではないだろうか。
この奴隷には・・・なんてことを考えているとあっという間に時間が過ぎる。
あ、こんなことを書いていたらダラダラと長くなってしまった。
もう仕事に戻らなくっちゃ。次はもっと短く書こう。

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2014年02月24日 22:10に投稿されたエントリーのページです。

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