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ルーブルを断片的に回想 5 ドラクロワとフランス絵画

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フランスの美術館だからやっぱり充実のフランス絵画。
近代絵画以前を所蔵するルーブルのフランス絵画のなかでは、僕は個人的にはドラクロワ、特にこの、サルダナパールの死、が好きなのです。当時のサロンでは酷評されたそうですが。。
先ず内容がよろしくないですな。残虐で。
サルダナパールはアッシリアの快楽主義者で遊んでばかりいた王で、それに対して反乱が起こり城は取り囲まれ、逃げることも出来ないし降伏もしたくないサルダナパールは死を選ぶわけです。自分の身の回りの財宝や、愛馬、たくさんの妾たちも道連れにして。家来や奴隷に、壊させ、殺させ、それを見届けたら最後は薪に火をつけて自分も死んじゃう、という場面。
なんともつまらなそうに見ているのが王、サルダナパール。
僕はこの物語よりも絵画としての視覚的な部分に目が奪われいくらでも見ていられるような気がしてくる。この写真では良く見えないから、興味のある方はこちらのほうが見やすいかと
ぼくの見え方はこんな感じ。
はじめ、混沌とした画面のなかを斜めに流れる赤い布と差し込む光を強調するかのように配置された王の白い服と白い肌の女性たちに目が止まる。つぎに手前影の黒人奴隷とその周りの床に散乱する財宝や馬の装飾具の色彩が美しく目を奪われるけど、遠近感がないので影の中での色彩の美しさだけを追いかけるように視線が泳ぐ。そして視線は川の流れの中に浮かぶ岩につかまるように再び裸体の白人女性を捉え、そして乗り越え、奥の良く見えない部分に潜り込む。そして冷ややかな顔をした、まるでぼくともう一人の傍観者のような王の顔に目が止まり、また彼が眺める景色をぼくも眺めることになる。また写真では見えないけれど、筆のタッチのバリエーションが豊かでそれがより画面を複雑に揺らがせている。まるでオールオーバー絵画のように視点は泳ぎつづける。
この絵のまえで酒でも呑みながら眺めていたいよ。
当時のアカデミックな遠近法などを飛び越えた画期的なものだったのだと思う。

この絵の隣りにもう1つ、最近までランスにできたルーブルの別館に行っていたドラクロワの大作が帰ってきていた。

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一応、こっちのほうが人気があるのは僕にもわかります。
ドラクロワはサルダナパールの死を発表したときの酷評のなかで、もし公的な仕事が欲しかったら作風を変えるしかない、と言われたという話がある。その3年後のあの7月革命を描いたのがこの、民衆を導く自由の女神。
この作品の好評によって彼はフランス政府の外交使節に同行する記録画家としてモロッコを訪問、その後もリュクサンブール宮殿、パリ市庁舎など政府関係の大きな仕事を受けている。パリにある彼の自宅兼アトリエは現在ドラクロワ美術館として小さいけれど国立の美術館、ここルーブルの半券を持って行けば無料で見られる。

この大作2つは、ダヴィンチのモナリザやラファエロなどあるイタリア絵画スペースのとなり、ドラクロワと同じロマン主義のジェリコーや、対照的な新古典主義のダヴィッドやアングルたちと並んでいる。

そして少し離れた場所に別にフランス絵画スペースがあり、そこでまた彼らのたくさんの習作を含めた作品が見られる。

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サルダナパールの死のための小さい習作。
見比べてみると人と馬の動きとざっくりとした構図がよく見える。完成形のような密度はないけど舞台演劇をみているような動きを感じる。

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モロッコに随行したときのデッサンを元に書かれたものなども。
モロッコ以前の、リエージュ司祭の暗殺、もここにある。
こっちのフランス絵画スペースには、ジェリコーの、メデューズ号の筏、や、アングルの習作も多数。もちろんシャルダン、コローなどなど、ここだけで小さい美術館何個分かはある。ルーブルの目玉作品だけを急いで見て回るツアーでは寄らないかもしれないけど、フランス絵画だけ絞ってみるならセットで見ると理解が深まるように思う。

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2014年03月03日 21:18に投稿されたエントリーのページです。

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