1997年に、世界遺産にカタルーニャ音楽堂とセットで登録されたドメネク・モンタネ設計のサンパウ病院に行ってみた。
「芸術には人を癒す力がある」とモンタネが言ったという。
ある意味病院は人が死に一番近い場所でもある。その場所を無機質な箱にするのではなく、美しい空間にしようとしたらどうなるのだろうか、という興味があって行く気になった。
2009年までは実際に病院として機能していたらしいけれど、現在は老朽化のため閉鎖され、修復工事をしながら作業していない部分のみ見学できるようになっていて、一日に数回のみガイド付きで見ることが出来る。数回といってもその回によって、スペイン語、フランス語、英語などに分かれているので、比較的聞き取り可能な言語を選ばなくてはならない。
見学の受付はプレハブの現場事務所といった感じだった。
とりあえず英語の回に集合場所に行ってみたら僕ら2人だけだった…...ずっと話しかけられ続けているので、それはそれで少ししんどかったな。たぶん、ガイドさんも(笑
ここにベッドが並んでいたらしい。
ベッドの数は幾つだと思う?というクイズ形式をクリアしながらツアーは進む。
私、幾つに見える?という質問にサービス気味に答えたほうがいいのだろうか、というのと似た感覚を覚えつつ、有り得ないくらい多い数を答えた僕が我ながら少し嫌になる。
正解は忘れてしまったが、少しゆったりだね、というくらいの数だった。
この建物には個室やキッチンの跡もあった。
サンパウ病院は複数の建物なから成る。
中央に広場のような大通りがあり、左右シンメトリーに配置されている。
通りを挟んで男女別、建物は、内科、外科、歯科、眼科などに別れ、手術棟もあった。
全ては地下で繋がっているので、外に出なくても移動できるのだそうだ。
この日内部を見られたのは、入院用の大部屋と、病院の正面入口にあたる管理棟の礼拝室というか講義室のうような場所だけだった。
建物の設計はドメネク・モンタネと、その息子のベラによるものとがあるのだそうだ。
どれがどれだったかなー。。
病院正面入口。
内部は現代的な自動ドアと自動改札の設置工事中だった。
自動改札工事中の天井は当時のままのモダニズモな天井、ピンクや黄色が多用され、カタルーニャのサインもある。
この日の夜に行ったカタルニア音楽堂と共通した装飾。
でもやはり、ステンドグラスや装飾を見るならカタルーニャ音楽堂のほうがすごい。
ここは患者と面会者の対面する場所でもありまた祈りを捧げる場所でもあるのだそうだ。
この建築群の見学コースは有料だけれど、敷地内の礼拝堂には無料で入れる。
そこにはこのような明るさはなく、厳粛な雰囲気でした。
あのオレンジは食べないの?と聞いたら、あれは飾りで美味しくないのだそうだ。