この中を待ち合わせ場所にすればいくらでも(それは言い過ぎです)待てそうなくらい、飽きることなく浸ってしまえる場所。僕が言うまでもなく歴史的にも貴重な建築物。
歴史や構造についてはいろんな文献があるのでそちらをご覧いただくとして、何なんでしょうね、このパンテオン内部のとてつもなく大きな体感スケールは。
巨大なドームの丸い穴からはゆっくりと雲が流れるのが見える。
穴が開いているので雨が降ってくれば穴の下に雨が落ち床が濡れることだろう。
時には強く、時には柔らかく光が差し込み、その光は時間とともにドーム天井をまわっている。
この穴と入り口以外に採光はない。
閉ざされた大きな空間で大昔から変わらない時間の流れを光と静けさによって感じている。
そして、ボトルの中に入り込んだような僕の見上げる口越しの空は、広場で見上げた空とは違う空に見える。
そのうち視線は天井に向けているはずなのに自分の内にベクトルが向いているのに気づく。
僕は祈りはしないけど、瞑想に近いとても静かな時間を過ごす。
キリスト教の聖堂となる前は、全てローマの神を祀っていた神殿。
ローマに多く残るバロックな教会よりも祈りの場に相応しいと感じるのは僕の生まれた東洋の影響なのでしょうか。
ジェームズタレルなどの現代美術作品の世界を共感したときも近い感覚を感じますが、この場所には素晴らしい芸術作品を見たときのような視覚的なものを超えた充実感を感じます。
まぁ、長くなりましたが、つまり、僕はこの場所が好きなのです。
ウンベルト1世やエマヌエーレ2世とと一緒にラファエロの墓もここにある。
構造的な素晴らしさと、キリスト教の聖堂になったことで壊されずに済んだ奇跡と共に、ルネサンス期の画家の社会的地位の向上についても感心するのでした。
パンテオン(ローマ)/Wikipedia
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