アパートホテルから歩いて大英博物館へ。
うちの奥さんの今回のメインがここなのだそうだ。
前に来た時は、見るべきオススメお宝、みたいなものを探して回っただけで主体的に記憶に残っているものではなく、今回は有料のオーディオガイドも借りてじっくり鑑賞したいとのこと。
イギリスの国立の施設は入場無料だしね。
ちなみにこの時のオーディオガイドは6ポンド。
まずは、クニドスのライオン The Lion of Knidos。
確かにこれだけ見ていたら、ボロボロのライオンさんやなぁ〜、くらいしか思いませんが、大英博物館のオーディオガイドのサンプルがネット上にありましたので、そちらをどうぞ。
https://soundcloud.com
British Museum
https://soundcloud.com/britishmuseum/191a-1
いやぁ、また行った気になるわー。
そんな感じで、オーディオガイドさんのオススメどころを回って見ました。
ゆっくり見て、全部で2、3時間でした。
カメムシは太陽の神の使いなんですってよ。
僕がどハマりした展示を3つメモ。
アッシリア王の獅子狩りのレリーフ。
紀元前645年頃、アッシリア帝国全盛の首都ニネヴェにあったアシュールバニパル王の宮殿の壁だったものだそうです。
柔らかそうな石というか粘土板のようなものの表面に緻密な浮き彫りで獅子狩りの様子が表現されています。
無表情な人間とは異なり、ライオンの表情や たてがみなどの表現が素晴らしく、見ていて飽きません。
当時、野生のライオン狩りも行われていたようですが、このレリーフを見ると檻から放たれたライオンをアッシリア王が仕留める場面のようです。
動物界で最強のライオンを王が仕留めることで、王が生物世界の頂点にいることを誇示しているようです。また、これは宗教儀式の一つでもあったようです。
このレリーフを見ていて興味深かったのは、
これが上下3段になっていて映像や漫画のようにそれぞれのシーンが一枚の平面上に描かれていて、時間が表されているところです。
王とライオンは一枚の平面上で複数存在しています。
メソポタミア美術に見る横顔のみの遠近法のない表現の中で下のレリーフがとても面白いです。
ライオンを仕留めた王に民衆がひれ伏している場面ですが、複数いる様子を上下に連ねて表現しています。
現代の表現では空から降ってきているようにも見えます。
ライオンを引きずる王の部下は重ねて表現されていますが、この表現方法では2、3人が限度、もっと数が多いことを表すには俯瞰図が効果的なのでしょう。
しかし、遠近法のない中で、しかも側面からの表現しかしないこの時代、どのように民衆という群れを表現するのか、という結果のこの3次元を説明的に2次元化した空間の面白さがなんともたまりません。
この緻密な作業、漫画を平面に並べたような混在感、キュビズムにも繋がりそうな3次元の2次元化にどハマり。
止めを刺すアッシリア王です。
素手かよ!
ギリシャ、アテナイの丘のパルテノン神殿にあった彫刻群、パルテノンマーブルです。
ヘレニズムだわ。想像力全開です。
紀元前5世紀に完成したパルテノン神殿の破風彫刻。
パルテノンの柱の上の破風部分の彫刻群。
東と西の破風がパルテノンを思わせる位置にそれぞれ展示されていて、こちらは西のペディメント。女神アテナと海神ポセイドンのアテネをめぐる主権争いの様子が描かれています。
クニドスのライオンもそうですが、当時僕がそこに生きていてもこの近さで見ることは出来なかったでしょうね。
ウルのスタンダード。
紀元前2600年ごろのシュメールの古代都市ウルの遺跡から出土した工芸品ですが、用途は不明。
大きな2面に「戦争」と「平和」が描かれています。
こちらは戦車と歩兵を従えたウルの王が敵を打ち負かす「戦争」の面。
山羊や羊、穀物の袋などの貢納品が運ばれ王と家臣が宴会を楽しむ「平和(饗宴)」の面。
紀元前2600年のシュメールの王の成すべきこととして、戦いに勝つことと、国家に豊穣をもたらすこと、が描かれているのだそうです。