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大西暢夫写真展「水になった村」/ 殻々工房と、10月14日(日)は無料映画上映&トークイベント「オキナワへいこう」があります!

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殻々工房でノンフィクションの写真家で映画監督でもある大西暢夫さんの写真展「水になった村」が はじまりました!

10月14日(日)の夜は、
大西暢夫さんにカラカラにお越しいただき、映画「オキナワへいこう」の上映とトークイベントがあります。
参加費は無料です。が、椅子には限りがあるので予約順で席を確保させていただきます。
仕事上がりに直接来られる方のために、手に持って食べられる軽食をご用意しますので予約時にお伝えください。(すでに予約済みの方には、こちらから確認のご連絡を差し上げます)

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映画「オキナワへいこう」上映と大西監督のお話
18時 開場 (上映は82分、予定終了時間は20時30分です)
参加費 無料(予約制)
ご予約 0287781100(夜のみ)SNSやメールでもご予約承ります。

※当日は椅子のみの会場となります。
※上映に支障のない軽食とドリンクのみご用意いたします。ご予約時にご確認ください。
※お酒飲まなくて大丈夫です(笑)
※イベント終了後、テーブル入れて通常営業します。
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この企画は当初有料で考えていたのですが、NPO法人那須フロンティア20周年記念事業として無料で上映できることとなりました。この機会に、ぜひ多くの方にご覧いただけたらと思います。
当日の司会進行は那須フロンティアが行います。
みなさまのご来場、心よりお待ちしております。

 
  
さて、大切な告知はこのくらいとして、
ここからは これまでの経緯とこの企画の全体についてお話しましょう。

長くって嫌んなっちゃうと思いますので、興味と関係のある方だけどうぞ。 
 
 
そうさなぁ、あれは去年の夏のことじゃった。
カラカラの本棚に一冊の本が目立つように置いてあったのじゃ。
それは「アレクセイと泉のはなし」という写真集のような絵本のような本じゃった。

(......この喋り方は長い話が 余計長くなるのでやめます)

カラカラにいらした ある御夫妻の奥様が、その、本橋成一著「アレクセイと泉のはなし」を指しながら、この出版に携わられたことをお話になり、なぜ置いているんですか?と 聞かれたので、福島の原発事故の後にこの本のことを思い出して、遠くの話ではなく身近にある大切な話なんだなと思ったので置いてるんです、という話を交わしたのがはじまりでした。

本橋さんのお弟子さんで大西暢夫さんていう写真家がいてね、その人も面白い人なのよ、という話から大西さん抜きでカラカラで写真展とか上映会なんてどうか、というところまで話は進み、、、僕はその日の夜に大西さんの著書「ぶたにく」「津波の夜に」「ここで土になる」を購入しました。
後日、その方にメールでギャラリーの規約をお送りして、大西さんをご紹介いただき、もし可能だったら期間中に上映会も、という話が漠然とまとまりました。ただ大西さんのお住まいは岐阜なので、せっかく那須に来て下さるなら他の会場も用意して上映をと思ってギャラリーバーンの清野さんと会った時に話はしていました。
 
この頃、大西さんが撮影中で完成間近だったのが「オキナワへいこう」。
2月、大西さんから宇都宮で「オキナワへいこう」の上映会があるとの連絡があり、僕は大西さんを紹介してくださったご夫妻と一緒に宇都宮へ。そこの上映スタッフにいたのがNPO法人那須フロンティアの遠藤さん。
ぜひ那須でも上映会したいですね、ということで話は進みました。
僕がはじめに「ぶたにく」を読んだ時に頭に浮かんだのが森林ノ牧場で、森林ノ牧場の山川さんにも声を掛け、山川さんから旧朝日小学校再生プロジェクトの那須まちづくり広場の鏑木さんをご紹介いただき、そこに以前からお世話になっている那珂川町の もうひとつの美術館の梶原さんも乗ってくださりました。


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何とかオーガナイズできるんじゃね、と楽観視しておりましたが膨れた企画をまとめてみると、
カラカラでの写真展の期間中に上映が5つ、写真展が4つ。
結構なボリュームで分かりにくい企画となりました。笑
大西さんにも分かりにくく困らせちゃってると思います。すみません。

5つの上映を一つのイベントして予算を出してみました。
全ての会場が基本的に無料提供として、またチラシのデザインなども全てボランティアにしました。それでも映画の配給に支払うお金やあれこれ含めるとかなりの赤字になることが判明。笑
 
困ったな、と思っているところに、
就労支援カフェ ホリデーを運営しているNPO法人那須フロンティアの遠藤さんから、法人内での話し合いの結果、20周年記念事業として全ての経費を持って下さることをご提案くださり、有料上映の予定も 無料上映となったのです。

これには「オキナワへいこう」の映画の内容と大きな関わりがあります。

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「オキナワへいこう」2018年 82分
 配給:kokoima ココイマ

宇都宮の上映会ではまだ完成していなかったので、最後までは見られませんでしたが、大阪にある浅香山病院精神科病棟に長期入院している患者さんの中の物静かな女性が、テレビでみたキレイな沖縄の海を見てみたい、という ひと言から話ははじまります。
みんなで沖縄へ行こう!計画です。
楽しみな旅行準備は進み、病院に外出許可を取ろうとしたところ許可がおりません。そして、長期外出するには一度退院して、もう一度再入院という形を取らなければならいないというのです。「退院」という言葉を怖れ、沖縄には行かない、と言い出す彼らの表情は、何かを物語っていると思いました。彼らは何十年も病院内で暮らしているのです。

精神科病院数世界一の日本。イタリアのトリエステでは精神科病院を廃止し、日本のように何十年も病院で暮らさなくてはいけないという状況はないそうです。なぜ、日本はそうなのでしょうか。
 
僕が育った街にも大きな精神病院がありました。
窓には鉄格子があり、小学校では時折奇声を聞いたという話が上がり、クラスで落ち着きがない子供は先生から、お前は〇〇病院に送るぞ、という言葉も聞いたことがあります。
誰かが作った概念によっても、差別が生まれます。
僕らの住むコミュニティの方がよっぽど怖ろしい世界なのかもしれない。
 
今回、NPO法人那須フロンティアの活動を知ったのですが、
精神障害者が働きながら社会で自立していたくために、家族や医療従事者、スタッフと連携して就労支援している団体です。
映画「オキナワへいこう」を、一人でも多くの方に見てもらいたいという気持ちから無料上映になった、という気持ちが伝わりました。
 
 
大西暢夫さんの「人」への眼差しは、他の作品にも共通して見られます。
障害を持つ人たちのアートや、ダムに消えて無くなる村の人々の暮らしの中にも。


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殻々工房で開催中の写真展「水になった村」は、岐阜県の徳山村にできた大きなダムの底に沈んだ村で、ダムに沈むギリギリまで村で暮らしたいと空き家と自然だけが残った村に舞い戻ったおじいちゃんとおばあちゃんたちの姿です。
家によっては電気もない小屋で寝食しながらも、自然を相手にした活き活きとした暮らしの15年間に渡る記録です。
森林ノ牧場での写真展は「山里にダムがくる」。こちらは日本全国で現在も続いているダム建設計画のうらにある人の暮らしが映されています。

僕はまだ不勉強でダムの本当の必要性や是否を問うまでの理解がありません。菅聖子 著・大西暢夫 写真「山里にダムがくる」のなかでも、計画当時、ダムができることをポジティブに捉えている地元の若者も描かれています。
ただ、大西さんの写真は、自分たちで決めてないことが自分たちの暮らしを変えてしまうことがあって、それは人の愛着や思い出だけでなく暮らしをも奪うことになるかもしれない、ということを、想像ではなく現地での写真で感じさせてくれます。

「水になった村」は映画化(配給 ポレポレタイムス社)され、第16回EARTH VISION 地球環境映像祭 最優秀賞受賞を受賞しました。写真展期間中は「水になった村」のDVDとパンフレットも販売しています。
また期間内、大西さんの著書も多数お預かりしていますので、ぜひ手に取ってご覧下さい。(食べながら読んで汚さないでね)
 
 

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お預かりしている本のなかに「水になった村」の徳山村の生活記「僕の村の宝物」がありました。
これは僕も持っているな、と思って手に取ると頁がとてもめくりやすい。
そしてプロローグが違う。
自分が持っているのを持って来て見比べると僕が買った中古本は初版で1998年、大西さんのは2006年の第2版だからプロローグでは、徳山村はもうダムに沈んだと過去形になっている。
さらに読み進めようと頁をめくると、大西さんによる校正のあとがぎっちり書き込まれている貴重なものでした。
大西さんは、こんな大切なものをよく何も言わずに置いて行ってくれたものだ。
ダムに沈んだ第2版のあとも、この話は見直す必要がまだある、という大西さんの真摯な態度が手から伝わってきます。
 
 

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大西暢夫 写真展「水になった村」の会期は11月24日(土)までです。


最後まで読んで下さったのは極々少数だと思います。笑
精神病とかダムとか聞くと重そうで面倒くさそうでしょ。でも普通に暮らせていたら見ることのできない部分を見せてくれていて、その写真の奥には人間の問題が見えてくる。
僕も人間なら、それは僕の問題でもある。
何か行動を起こしてほしいとは思ってません。考えてもらいたいだけ。
ご高覧いただけたら幸いです。

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2018年10月11日 10:37に投稿されたエントリーのページです。

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