ベネツィアの冬の風物詩、アックアアルタ。
昼近くまでホテルでのんびりしてれば潮も引けるというものですが、どっか行きたい、という時には美術館や博物館などでゆっくりするのも良いですね。ヴェネツィアで最も標高の低いサンマルコ広場は真っ先に水に沈む場所だそうですが、夜のうちに橋が架けられているのでデュカーレ宮殿には長靴がなくても辿り着けました。
ゆっくり見れば2時間くらい掛るので、出てくる頃には広場は元通り。
7年ぶりの再訪。
黄金階段と呼ばれるこの階段は記憶に強く残っています。
けっこう疲れるから。
内部はヴェネツィア市民美術館財団 MUVE の運営する美術館となっています。
まずは最上階まで上がり、順路に沿って見学し、宮殿の外からの観光スポットにもなっている溜息橋を通って牢獄跡を回ります。
ティッツィアーノの「祈りを捧げるグリマーニ総督」が見えます。
ヴェネツィア派を代表する画家ですね。
ヴェネツィアにたくさんの教会があるということは、その数だけ細かな教区に分けられていたということで、それぞれの教会の支持者は絵画などで装飾することで自分たちの教会の素晴らしさを示したのでしょう。その競い合いが画家にとっては仕事の多い場所となり、画家はヴェネツィアに集まってきたと言えます。
教会や宮殿への絵画制作は今で言えば公共事業です。
あちこちでティントレットの絵を目にします。
ティッツィアーノの弟子のティントレットは仕事の早い画家でしたから、多くの仕事をこなせたのだろうな、という想像。実際、ティントレットの壁画(ヴェネツィアは干潟の上にあるのでフレスコ画が不向きなためキャンバスに油彩ですが)の中には、ちょっと雑だなぁ、と思わせるものがあります。。
しかし表現もドラマチックですし、勢いはすごいなぁ、という印象もあります。
ここデュカーレ宮殿は美術館になっているとは言え、作品の持ち出しはまずないのでしょうから、教会はもちろん、やはりヴェネツィアに来ないと見ることの出来ない作品がたくさんあります。
そのほとんどは、その場所のために作られたものなので、見え方なども当時のままの劇場型として見ることができるのは幸せなことです。
正面がティントレットの「天国」。
天井中央の楕円がヴェロネーゼの「ヴェネツィア礼賛」です。
絵画としてはヴェロネーゼの方が好きだなぁ。
退屈そうなサンマルコ。
牢獄跡に移動すると流石に寒いです。
真夏は涼しいのかなぁ。僕らは真冬しか行けないからわからないけど。。
ここが溜息橋の窓です。
牢獄の死刑囚がこの橋を渡って処刑場に移動する際、最後に見る海を目にして溜息をつくそうです。
サンタマリアマッジョーレの鐘楼が見えます。
みんなが僕を撮っています。(妄想)
だいたい2時間ちょっとで回りました。
ね、もう大丈夫でしょ。
サン・マルコ寺院は朝は中も手前の方だけ水浸しでしたが、お昼には大丈夫でした。
しかし年々水位が上がっているという話もありますから、心配ですね。