わりと近くに住んでいる、造園デザイナー&ジャズマンの、お髭のおじさんとお知り合いになって以来、そのUさんという方は、時々様子を見に来てくれる。私が脚立に乗って天井を塗っていたら、それじゃかわいそうだと言って、馬を作るよう勧めてくれた。
こんなの、とダンボールの端にイラストを描いて、それから一旦帰りかけたのに、また戻ってきて、端材を寄せ集め、ちゃちゃっと立派な馬を作ってくれた。その間わずかに10分。
日が暮れて、木枯らしが強く吹きつけていたけど、それくらい髭のおじさんはへっちゃらなのだ。
そもそもUさんは、Be-h@usで使っているアイランドプロファイル社製の窓に興味を持たれて、ちょっと見せてもらえますかといらした方で、私も嬉しくなって窓の自慢話をしてすぐに打ち解けた。お仕事柄、家のことにもお詳しく、そのうえ手先も器用。
左官ゴテはこうやって、この部分を使うといいよ、貸してごらん。ジャー、ジャッジャッと鮮やかなコテさばきを見せてくれた。そのリズミカルで軽やかな身のこなしは、プロのジャズバンドでパーカッションを叩いている姿を感じさせる。
それからね、脚立は大変でしょ、馬の上でやっでごらん、作業が3倍速くなるよ、すぐ作れるんだから。薄暗闇の中、そう言うが早いか、私達がため込んだ端材の中から適当な材を抜き出して、寸法は現物合わせで、刻んではビスで揉んでいく。その手際の速いこと。あのあの、ささ寒くないですか、中でやりましょうよ・・・。
えっ?このくらいで寒がってちゃここでは暮らせないよ、あ、ここ持ってて、はい、ここ止めて、次これね、はい出来た、ね、すぐだったでしょ。すすすすごーいよー。ささささむーいよー。あああありがとうございましたー。私達は寒さに身を縮めてぴょんぴょんと飛び跳ねながら、また来てくださーい、と走り去るUさんの車を見送った。こんなことで、私達はここで暮らしていけるのだろうか。
そして馬は、驚いた、こりゃほんとに作業が3倍速くなるよ、もう手放せないわ・・・・の使い心地である。これから先、脚立で天井の仕事している人を見たら言っちゃうだろうな、「脚立じゃ大変でしょ?」って。