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川俣正と鳥の巣とセルフビルド

東京都現代美術館川俣正の「通路」展を見てきました。川俣作品の多くはアースワークとも呼べるインスタレーションであり、美術館内での展示の場合はそのプロジェクトの記録や模型を展示するのが多かったように思う。もちろん他にもフランスのサン=ルイ教会でのパリ中の教会の椅子を集め積み立てたとても美しい作品「椅子の回廊」などもある。今回の現代美術館での展示は、記録や模型の展示もあるが美術館内に大量のコンパネ衝立てをレイアウトして「通路」を作ったものだ。これは観客が通路を移動している観客を見る、という、人の動きだけが存在する作品となっており美術館というものを再解釈しようというもののようだ。

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僕は川俣正の「工事中」とも呼ばれる作品シリーズが好きだ。建物や通りや街角に大量の無塗装の木材を使って新しい景色が作られる。それは規則正しく組み立てられるものもあるが、スケッチのように流れのある線として木材が使われ、線は面となり、絵画のように意図的に構成されいて、それに強く惹かれるのだ。

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それは、小動物や鳥が作る「巣」のようにも見える。
僕の好きなサイトのひとつに大阪市立自然史博物館の中にある「実物 日本鳥の巣図鑑」がある。ここには鳥の種類や巣を作る場所などでコテゴライズされた沢山の鳥の巣の写真が収められている。これが見ていて本当に飽きない。
アリスイのように自分では何も作らない奴もいるが、多くは枝や草、土などを使って感心するほど密度の高い「巣」を、叢や枝や岩の隙間など様々な所に作るのだ。20080310001.jpgアースダイバー周知のカイツブリなんかは水上に浮き巣を作るんだから独創的であり神秘的でもある。

何か確りとした母体に付着するように作られた巣には、バラック系セルフビルドとも似た部分がある。スペースや機能の増殖を目的として結果的に生まれた大きなバラックには、ベースになる「箱(家)」がある。その箱に部屋やベランダなどいった小さな単位の造作が幾つも付け足されて大きなバラックに成長するのだ。これが一番楽な形のセルフビルドだと思う。小さな単位であれば作るのが簡単。手に入れやすい材料とそのサイズによって大きさも変わる。
ひとつひとつの工作は強固なものではないから躯体に固定したり小さな単位同士を連結させて強いものにする。それを基本に考えているからこそ、プロにしか出来ない頑丈な構造を作るではなく、枝で巣を作る様に増殖していく。もちろん危なっかしくもある。
僕が作っているデッキやパーゴラもそれを意識し小さな単位で作り全てを連結させている。Be-h@usという頑丈な箱にいろいろ取り付けたり、スペースを広げ、見ていて楽しくなるような景色を作りたい。個々が繋がりながら広がって、やがて庭が街のようになってきたら嬉しい。それをイメージすることが作業のムーブメントとなる。

規則正しく並んでいない木による造作は巨大な建造物にはない「巣」のイメージがあり、決められた完成のない作品には想像し続ける楽しみがある。「現場」という楽しい空気が消えないために完成しないように作り上げたいという想いは「工事中」シリーズとセルフビルドの類似点でもあるように思える。

下のサイトで川俣正の制作風景が見られる。
Tadashi Kawamata / GENERATOR 2007
http://generator.teks.no/wp/?page_id=43

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Comment(2)

yuko:

こちらのブログで、美術作品をたくさん紹介してくださるので、とてもためになってます。ありがとうございます。

この作品はとても興味深いです。もうしばらく展示されてるようですね。時間があれば、行ってみます。

OIL:

こんにちは。紹介する、といっても個人的な感想を書いているだけですから何かの為にはならないかもしれませんね(^^;

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2008年03月11日 16:02に投稿されたエントリーのページです。

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