きのうはたっぷり雪が降った。
でも雪降りのわりには寒くない。
夜中に外に出てみると枝に積もった雪がドサッと落ちる音と一緒にポタポタ屋根から雪が溶ける音もする。夜に雪が溶けるなんて、まるで春みたいだ。
それにしたって雪景色は美しい。
目に美しいのは何と言っても陽の光を浴びた雪だと思う。
しかし夜は庭の一部分だけの照らされた空間に降る雪をみて、夜空中に降り落ちて来る雪を想像して楽しむことが出来る。この部屋のなかだけ温かくて違う世界にいるようだ。
家の数だけ違う世界がある。
店から出て行く人達のドアを開けた先の雪を見ながら、
外は零度に近い氷だらけの、
真っ白だけど真っ黒な世界に消えて行く姿はまるで物語のようだと思う。