柱の先には中庭があり、それを挟んだ手前の入り口が、印象派やモダン、家具なども展示するパリ市立近代美術館Musée d'art moderne de la Ville de Paris、その先が現代美術を展示するパレ・ド・トーキョー。
市立近代美術館は常設のみ無料で見ることができる。
前に来た時はラウル・デュフィの電気の妖精La Fée Électricitéがクローズで見られず、残念な想いをしたのでリベンジなーのだ。
レセプションなどキレイになった気がする。有料の企画展もあったけど、今回はスルー。
常設の内容は基本的に替わってないように見えるけれど、泥棒に入られ5枚の絵画を盗まれ被害総額は約111億円というニュースもまだ耳に新しい。
デュフィの電気の妖精。よかった、開いてた。
床からのアッパーで照らし出された電気の妖精は想像していたより鮮やかでとても美しかった。
この高さ10m、幅62.4mというサイズの作品の中に埋もれる感覚は、サント・シャペルのステンドグラスを見上げた時と似たような神聖な印象すら受ける。
教会や寺院などの宗教施設に於いて、人間を圧倒するサイズを持ってして崇拝する対象の偉大さを人に伝えようとしているのだと仮定すれば、大きなものほど説得力を持つという、それはひとつの手段なのだと思う。宗教的なテーマのあるなしに関わらず鑑賞者はサイズによって圧倒されることがある。でもそれだけでは美術作品とは呼べない。このデュフィの場合、独特な色彩と線から作られる音楽的なリズムとストーリーが、視界に収まることがなく全体を見ることができないけれど感じることができる夜空や宇宙のように僕の周りを満たしてくれる。
大きな空間という括りで言えば、作品のサイズだけでなく展示方法として、かつて川村記念美術館でのロスコ展で見た15枚のシーグラム壁画も、暗さのなかに圧倒的な作品の世界と静けさという音の世界があったように思う。
いずれにせよ、その場に行かないと資料では感じることのできないものがある。
優れた絵画や彫刻の全てがそうであるように。
もともとこの作品はパリ万国博覧会の電気館に描かれた壁画で、電力会社から美術館に寄贈されたものなのだそうだ。
ここにあるマチスやビュレンの作品も大きいです。
これがタダで見られるなんて、太っ腹よねー。