サクレクールに行きたいと思わなくてもモンマルトルの丘を登っていればサクレクールに着いてしまう。今回はホテルから近かったのでバゲットをかじりながらブラブラしていたら着いてしまった。来たくなかった訳ではないけど、以前、サクレクール来る時に体調を崩していて、無理にモンマルトルを散策したのがとどめを刺したように40度の熱を出したことがある。
あの時のブログのメモを見ると、何とも言えず重く暗く感じたサクレクール寺院内の感触が思い出され、冷たい涙で湿ったような空気をきのうのことのように胸に蘇らせることができる。
しかし、今回は近づいただけでも何だか雰囲気が違う。
夕方5時だというのにみんなのんびりしていて、気温もあの時に比べて温かい。
ミサンガ売りもガツガツしてない。
じゃ、ちょっと中にも入ってみよう。
礼拝堂内は撮影禁止なので写真はないけど、やっぱり前回とは違う印象だった。正面のキリストと壁の黒さは変わらないけど、色とりどりのガラスに入ったたくさんのキャンドルが目に温かく、たくさんの観光客で静かにだけど賑わいでいた。
何年か前、冬の寒い朝早くの薄暗いうちに体調の悪い僕がほとんど人のいない礼拝堂で目にした風景と、このサクレクールはどちらも同じサクレクールだ。きっとこのサクレクールのほうが多くの人と共有できるサクレクールなのだろう。
ユトリロの描くモンマルトルの風景やムーランドラギャレットとルノアールのそれが同じ場所で、その絵からは2人が同じモンマルトルの風景をみていたとは思えないように、見える風景は人によって違うもので、その風景に何を見ているのかがおもしろい。
入り口から街を見下ろす。曇ってるけどいい眺めだ。来てよかったな。
変わらずにあるメリーゴーランド。これは一体いつからあるんだろう。