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サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会のミケランジェロのモーゼ

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コロッセオからぶらぶら歩いて、カブール通りからボルジアの階段を登りサン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会へ。
昼間はここにアコーディオン弾きのおじさんがいたけど、もう帰っちゃった。

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サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会。
あとから知ったんですが、階段を登ったところにチェーザレ・ボルジアの母でありローマ教皇アレクサンデル6世の愛人だったヴァノッツァ・カタネイの住まいがあったからボルジアの階段と呼ばれているのだそうだ。

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冬だし夜だし、教会内はさすがに人が少ない。
あの祭壇に聖ペテロがエルサレムの獄中でつながれていた鎖とマメルティーノの牢獄につながれていた鎖が1つになったものが祀られているので、ヴィンコリ(鎖)教会というらしい。

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祭壇の右にミケランジェロのモーセがあります。
暗いけど、ボックスに1ユーロ入れるとライトがつきます。
誰かがお金を入れてライトがつくと人が集まります。

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今回のイタリアの僕の目的はルネサンスとバロック、ルネサンスといえばやはりミケランジェロです。昼に飲んだワインもすっかり醒めました。
まえにここに来たときはモーセばかり見ていましたが、モーセの上でかったるそうに横になるユリウス2世の感じもなんだか妙にいいですね。ミケランジェロは彼からの依頼で彼の墓のためにモーゼと奴隷を作りはじめ、ユリウス2世の気まぐれで頓挫したり、彼の死後新しい教皇のレオ10世がシスティーナ礼拝堂の仕事を急かしたりで、結局ユリウス2世の死から8年後にモーセが完成したのだそうです。
作りはじめから随分計画は変わっているだろうけれど、作りかけの期間が40年。

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このモーセの右足の表現がすごい。
座りながらも硬く隆起した筋肉は、まさにこれからヘブライの民をパレスチナに連れて行こうとする決意が込められているように見える。すこしバランスが悪いようにもみえる頭部がかえって力の重心を右足に集めている感じがする。
貸切状態の教会内で、いやぁ、いいもの見たな、と頷いてしまう。

そして、モーゼを見ながら思うのだ、ユリウス2世の生涯と関係ないよね、と。
依頼とお金は受けるとして、彼は、作るべきものを作っていたんじゃないかと思う。
時にそれは社会的な意味を持つこともあり、また僕がミケランジェロの好きな部分はそういうところであり、いかにもルネサンスなのだと思う。

何で読んだのか忘れてしまったけれど、ミケランジェロは運ばれてきた大理石の塊のなかにモーゼを見た、という話があった。それを大理石の中から解き放つためにノミを振るのだと。
いやぁ、美術作家の集まった飲み会の2次会あたりで耳にしそうな話ですが、ミケランジェロに言われたら、そうですか、と頷いて見せると思う。
ミケランジェロのモーゼには角が生えている。
有名な話ですが、ヘブライ語の旧約聖書のなかでモーゼがシナイ山から下りてきた時の記述に「カーラン」という言葉が使われていて、これをラテン語に訳す際2つの意味に取れるのだそうだ。1つは「モーゼは光り輝いていた」、もう1つは「モーゼの頭には角があった」、角説は誤訳だとする説多いけど、ミケランジェロはこちらの訳のものを読んでいたのでしょう。ミケランジェロが大理石のなかに見たモーゼには角が生えていた。それは実際に大理石の中にモーゼが眠っているんだから何のイメージもなしに掘りはじめるということではなく、彼の頭の中にはモーゼの完成形がある程度見えていたということなんだ。

モーゼの角つながりで思い出すのがシャガールの描いたモーゼ。
今まで行った美術館のなかでいい美術館だったなと思う1つ、国立マルクシャガール美術館で見たモーゼは、ヤギなの?という感じで頭から2本の棒が出ています。ただシャガールのモーゼのそれは、はっきりとした角ではなく角のように見える光とも見える、ハイブリッドな表現だと思うわけです。

......いやぁ、確定申告の事務仕事が終わったばかりなので、開放感から長文になりますな。
きっとここまでくると誰も読んでないでしょうから、もっと脱線してしまおう(笑

モーゼの隣に立つ2人の女性像、旧約聖書に出てくる姉妹でラケルとレア。
ユダヤ人の祖となるヤコブ(のちのイスラエル)の、12人の子供(のちの12部族長)を産んだ4人の妻のうちのふたり。
絵画にもよく出てくる「ヤコブとラケル」のラケルは......たぶん、向かって左でしょうか。

少し乱暴に「ヤコブとラケル」の話をまとめてしまうと、美しいラケルに一目惚れしてしまったヤコブは、ラケルの父に7年間ここで働けば娘を嫁にやると言われ それに従った7年目の結婚の契りあとの朝、隣にいたのはあまり美しくないほうの姉のレアだったのでビックリ、で、ラケルを欲しければまた7年間働けと父に言われ それに従い、めでたく結婚したんだってさ、という話でした。
絵画のテーマとしては愛を貫いた、究極の愛、という感じのものが多いと思いますが、ラケルと結婚するまえにレアと7人子供作っているし、レアの女奴隷(4人の妻のうちの1人)とも子供がいて、7年後結婚したラケルとの間になかなか子供ができなかったのでラケルの女奴隷(4人の妻のうちの1人)とも子供作ってます。そしてラケルとの間にも子供ができました。愛というのは僕の理解の及ばないお話です。
最初に結婚したレアとの間の3男がレビで、その部族の子孫がモーゼだそうです。

さて、もう本題がないに等しいことになりましたので、もうひとつ。

この墓に眠るユリウス2世といえばアレクサンデル6世のボルジア家との対立、カブール通りからミケランジェロのモーゼを見に行くには、ボルジアの階段を通ってユリウスの墓を見るということになります。アレクサンデル6世の愛人 ヴァノッツァ・カネタイのほうがユリウス2世よりも長生きだったらしいから、彼がこの教会に葬られたとき彼女はかつての愛人のライバルの死をここで眺めたのかもしれない。
そのときこの墓はまだ完成していませんでしたが。

取り留めなく沢山書いたので、しばらくはほぼ写真だけの短文記事だと思います(笑

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2015年03月09日 22:44に投稿されたエントリーのページです。

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