雨が降ってきたので雨宿りを兼ねてダ・ミケーレに向かってみた。
評判通りに店前は人集り。
ちょっとなか覗いてくるよ、と言って、店に入ってみると、ダラスバイヤーズクラブのマシューマコノヒー似で腕にいっぱいタトューを入れた少し怖そうなおじさんと目があったので、2人、と言ってみる。
頷きながらちょっと待つように言ってるようなジェスチャー。
なんだかすぐ座れそうな気がする。
慌ててうちの奥さんを呼んでみる。
タトューおじさんと目が合うと、彼は親指で店の奥を指差した。
ピザ釜のあるスペースはぎっちり満席、ピザ釜の手前を右に曲がり段になった踊り場のようなスペースも満席、その先にもうひと部屋あったけど、どこも一杯で、部屋にいた店の人に、2人だ、と言ったら一杯だから戻れと言われた。
戻ってみると、さっきのタトューさんと目が合ったので、両手を広げて困った顔をしてみた。
怪訝な顔になって、小走りに奥の部屋を見に行き、戻って来て、オッケーこっちだ、とピザ釜のスペースに空いたばかりの席に通してくれた。
強面だけどいい人だ。
そして確かに評判通りの人気店だ。
あ、ジュリアロパーツの写真が貼ってある。
メニューはマルゲリータとマリナーラしかないから、ひとつずつとガス入りの水を注文してみた。
存在感のあるマルゲリータなのだ。
そしてマリナーラなのだ。
もっちりしているけどしっかりした生地。
さっきのディ・マッテオと比べてしまうとかなりワイルドで繊細な部分を感じないけど物としての存在感がすごい。
料理は出来上がったときの存在感というか、迷いのない、真似もない、本質を持ってそうな顔をしたものと、それがないものとがあるよね。
でも、全体のバランスというかピザの味としてはマッテオの方が好みでした。
しかしこのソウルフルな食べ物には、惹かれずにはいられないよね。
タトューさんが、どうだ?と声を掛けてくれた。
迷いなく、モルトボーノ、グラーツェ、答えた。
軽く頷きニコリとしたタトューさん。
いい人だ、ナポリの人は怖そうな人が多いけど心地いいホスピタリティーを持っている人も多いように思う。
この店のこの内装も質素でいてどこか神々しいい。さすがミケーレ。