思ったよりも充実した作品展示のマイヤー・ファン・デン・ベルグ美術館です。
この美術館の前に行ったロコックスハウスもそうですが、コレクターなどの邸宅を美術館にしてコレクションを展示する形はブリュッセルよりアントワープの方が多く、また現代美術や写真の美術館もあるので、個人的な印象としてアントワープの方が充実してる感じ。
この美術館のコレクションはフリッツ・マイヤー・ファン・デン・ブルグによるものです。
彼は43歳で他界していますから、ずいぶん若くして膨大なコレクションを築いたものです。
貴族ってすごい。
彼の死後、母のヘンリエットにより建てられた16世紀ネオゴシック様式の邸宅の中にコレクションは展示され、1904年から公開されたそうです。
絵画、彫刻、タペストリー、ステンドグラスなどバラエティに富んだコレクション展示です。
右上にはルーベンスのファウヌスとニンフが見えます。
壁の金唐革がゴージャス。
廊下や階段にはタペストリー。
フランドル絵画らしい細密描写の静物画が並んでいます。
全体的に落ち着いたコレクションです。
オンスタンツのハインリッヒの木彫、キリストにもたれて眠る聖ヨハネ像。
ここのコレクションの目玉の一つだそうです。
装飾家具とポートレート。
ここの一番の目玉がピーテルブリューゲルの狂女フリートです。
ケルンのオークションでとても安く購入したそうです。当時、ブリューゲルはあまり評価されていなかったようです。
中央やや左にいる大きな女性がフリートです。
鎧を着て剣とフライパンで武装し金銀を強奪しています。
彼女に続く女性たちも皆武器を持ち、家に押し入り強奪しています。
対抗しようとする兵士たちは彼女たちに叩かれ太刀打ちできません。
フリートは世界が焼かれようとしている地獄のような中で強奪を率いる、意地の悪い女性を象徴のようです。これは当時人気のあった喜劇の登場人物だそうです。
不気味な地獄の入口もあり、怪物が出て来てます。
ブリューゲルらしいキモ面白い地獄絵図です。
画面全体に細かな描写がありますので、これはこの美術館でじっくり見たいところです。
同室に展示されている作品は見ごたえがあります。
これもブリューゲルによる、ネーデルラントの12の諺だそうです。
12枚が合わされています。
ブリューゲル息子によるベツレヘムの人口調査もありました。
建物の内装は意図的にゴシックを意識部分と現代的な美術館のように展示される部分とに分かれています。
オーディオスタジオもあり、アカデミプログラムにも活用されているようです。
上段にヒエロニムスボスだと言われている、告解火曜日。
下段にはルーカスクラナッハ。
目玉作品や静物画あたりはじっくりと、そのほかは軽く流してみても2時間近くかかりました。
僕はアントワープシティカードで入りましたが、ルーベンスハウスとの共通チケットがお得なのだそうです。