ティース川の畔りに建つ、ハイランドモルトのディーンストン蒸留所です。
日本ではディーンストンはあまりメジャーではありませんよね。
ウィスキー蒸留所としての創業は1965年、1972年にインヴァーゴードンが買収した後しばらく創業停止となり、1991年にバーンスチュワートが新しいオーナーとなり創業再開となったそうで、建物の雰囲気の割には歴史のまだ少ない蒸留所だからなのかもしれません。
しかし、ここがウイスキーを作る前は1785年創業の歴史ある紡績工場でした。
設計はリチャードアークライト、産業革命の父だそうで、水力自動紡績機を発明した発明家でもあり、この建物は産業遺産として意味のある建物でもあります。
現在、この5階建てはウイスキーの貯蔵庫になっています。
蒸留所の目の前を流れるティース川です。
紡績にもウイスキー作りにも大量の水が必要という共通点から、
1950年代に閉鎖されたこの紡績工場のオーナーとグラスゴーの蒸留業者によって蒸留所に改造されたそうです。
あの白い泡のあたりポイントじゃない?
蒸留所内の掲示板に釣りイベントの告知があったから、春になるとこの川にも釣り人が入るのかな。
工場スタッフのガイドによるツアーです。
はじめに映像で蒸留所の歴史が紹介されました。
まずは樽の説明から。
ディーンストンはとてもシンプルな作りかたをしている印象を持ちました。
いい眺め。
それにしても渋い建物です。
マッシングタンクです。ほぼ満タン。
ステンレス製ではなくスチール製でフルオープンというのが素敵。
ステンレス槽に比べて一回の量が少なくなるそうで、時間もゆっくりなのだそうです。
でもその方がクリアなものができるみたいです。
発酵槽。
僕は日本酒をあまり飲まないのですが、共通した香りですよね。
グレンゴイン蒸留所では撮影禁止だったのですが、
これは記憶を整理する上でとてもありがたいです。
樽詰め完了。
ここがこの蒸留所の中でひと際 印象的な貯蔵庫です。
クリプトのような天井と、不気味なくらいに黒く暗い空間。
紡績工場時代はここに何台もの紡績機が置かれていたそうです。当時はあまり見られなかった温度と湿度の調整ができているそうで、それがウイスキーの貯蔵に適しているとのこと。
映画「天使の分け前」のロケにも使われたそうで、
これは蒸留所からのプレゼントされた樽なのだそうです。
ケンローチ監督はじめ御一同のサインがありました。
もう17年も経ってるけど......天使の分け前が増えますな。
ちゃんと観光資産としても役立ってますね。
ショップに移動して試飲です。
12年とヴァージンオークでした。
どっちが好きか聞かれたりしたので、少し受け答えしていたのですが、日本のウイスキーのことはご存知のようでした。
嬉しいねぇ。
ビジター用のショップやカフェが用意されています。
特にこれといった個性のないウイスキーなのですが、
見学していてコンピューターによる管理が見えない手仕事感を感じる職人っぽい蒸留所でした。
カラカラでも10年、12年、17年をストックしていて、あまりオーダーの入らない銘柄でもあるのですが、やっぱり見学すると、この場所の歴史や、川の流れ、空気を感じて、こういう人に飲んでもらいたいな、という気持ちが起きてくるものですね。
こんな遠くまでなかなか来れないけど、
機会が持ててよかったです。