ぼちぼちと浄化槽の工事が始まっている。
まず、(写真左から)し尿の分解槽、並行して雑排水の分解槽、(写真では見えないが)貯留槽を埋める。
この浄化システムの大きな特徴は、汚水を分別する、ということだ。
そうすることで、バクテリアによる分解能力をアップさせ、汚泥を残さない分解処理を可能にする。
貯留槽は風呂の残り湯を一度ここに溜めて、トイレの水洗に再利用する。
ふたつの分解槽の容量は同じだが、一般に汚水は、し尿よりも雑排水の量が多い。そこでこのように雑排水をし尿側に再利用すると、3:7の比率が4:6にまで近付くのだそうだ。
むろんそこには節水という日々の生活態度が関わってくる。
そしてし尿・雑排水それぞれの分解槽に蒸発散槽を繋げ、埋める。
汚水は分解槽でほぼ完全に分解されて透明な水になっているが、とはいえまだ少し汚れは残っている。
蒸発散槽ではその残った汚れを養分として発酵バクテリアが熱を発し、浄化した水を蒸発させてしまうのだ。
蒸発散槽はFRPの箱。まず底に大きな石を敷いて、無数の穴を開けた塩ビ管を乗せ接続する。
次にむしろを敷いて、ピンポン玉サイズのもの(白)とひとまわり大きなもの(黒)、2種の複雑な形状のプラスティックをばら撒く。これがバクテリアの家になる。
水をざあっと掛けてフリーズドライの発酵バクテリアをさらさらとふりかける。バクテリアは養分(汚水)を与えられるまで活動を始めない。
淡いピンク色のバクテリア。貝の破片の混じった浜辺の砂をもっと細かくしたようだ。農家の納屋で嗅いだような匂いがする。
再びむしろを掛け、周囲に藁を詰める。その上に小石をたくさん盛る。(写真右手に高く伸びる筒は点検孔となる)
私はむしろを見るのは初めてだった。実際、一般的なホームセンターでは取り扱っていない。設備屋さんもいろいろ探して、農業用資材を専門に扱っている「かくやす」というホームセンターでやっと見つけてくれたのだそうだ。
今日はバイオテクノ株式会社の常務が来てくれて、手ずからむしろにバクテリアを撒く作業を執り行った。
その丁寧な所作は厳かにも見え、一連の作業は農村で行われる儀式のようだった。
今日はここまで。
これから蒸発散槽の周囲をブロックで立ち上げ外部からの浸水を遮り、中にもっと小さい小石と砂を盛る。
外からの見た目は、砂場がふたつある庭、といった感じになる。