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コトトモノノマ・薄井隆夫展/ギャラリー・イン・ザ・ブルー

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宇都宮のギャラリー・イン・ザ・ブルーで薄井隆夫さんの個展「コトトモノノマ」を見て来ました。器に張った水に映る窓の外の光景を描かれた作品。記憶に新しいところで、水面をモチーフ(イメージ)として描かれた野沢二郎さんの作品を思い出す。だけど、両者の作品は静と動というか全く似ていない。
野沢二郎展のときの自分の備忘録にも書いたことがあったけど、水面とは水と空気という異なる2つ世界が出合い、お互いの世界が映し出されるドラマチックな部分だと思っている。僕が水面マニアだからなだけではなく、昔から水面は魅力的な部分だと思う。NYのMoMAやパリのオランジュリーに見るモネの壁画のような「睡蓮」は、睡蓮よりも水面を描かれたものだと僕は思う。空と雲が映り、水草が透け睡蓮の浮かぶ水面が、具象とは言い切れない表現方法で描かれていると思った。
薄井隆夫さんの作品はとても静かだと思った。それは器の中の水という流動性の極めて少ないものや作者の筆触を含む描画法にあるのではなく、今回の「器に張った水に映る窓の外の光景」という所にもあるように思った。
この関係が面白いと思った。器にある水の中と外との境界面、それを見つめる作者は部屋の中という箱の中にいて、水面に映るのは自分の居る箱にある窓越しの外の世界なんだ。
箱の中は水の中と同じように、外界よりも風も音もない。作者は、水の中と窓の外の2つの世界の間にいて双方の傍観者となる。その静けさが作品にあるように思えた。
ガラスで仕切られた窓は外界の光を反射し屈折させ、そのガラスに映った世界も水面にも映し出される。もちろん、それはそれを見る瞳の中でも起こっていて、それをまた僕がギャラリーで見ることになる。合わせ鏡のように。
全てのキャンバスの端には器の輪郭と思われるラインがあった。こう考えると、それが瞳のように思えてくる。
目の前にある物や自然が描いているのではなく現象を描いているのだと思った。

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2010年12月13日 20:15に投稿されたエントリーのページです。

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