フィレンツェカード3日目、最終日です。
正確には72時間有効なので、翌朝の10時くらいまで使えるのですが。
朝から雨だけどフィレンツェカードでバスも乗り放題。
まずはバルジェッロ国立博物館へ。
ここも10年ぶりの訪問ですが、その間に僅かながら勉強したことでまた違う楽しみがありました。作品は500年以上も変わっていないのに自分が学んだことで見えかたが変わって、印象深く感じるわけですね。
前日、ヴェッキオ宮殿で見た作品のオリジナル。
ここはバッカスやアポロをはじめミケランジェロの作品が多いですわ。
ピッティの聖母子。
学生時代に何十枚も描いたブルータスも今思えばミケランジェロだったんだな。
代表委員会の間という広い空間。
ここの博物館の中庭とこの大きな空間の天井高と余裕を持った贅沢な展示の間隔が印象的。
聖ゲオルギウス。
石が黒いので写真に撮るとシルエットになってしまうけど、やはりこのドナテッロのダヴィデの倒錯っぷりったら素晴らしい。
美少女のような美少年。
ミケランジェロのダヴィデと比較して、2度美味しい。
アカデミアでのダヴィデとセットでいかがでしょうか。
あちらは今にもゴリアテを倒さんとする「静」のなかに見る「動」を、姿勢と視線、腕の筋肉と血管の隆起から感じ、それが抑圧されていた当時のフィレンツェ市民と重なる社会性を持ち合わせているあたりで非常に高い芸術性を感じざるを得ない作品だと思うのです。
こちらはゴリアテを倒した後のゴリアテの剣を取り首を切り取った後の場面ですが、ブーツを履いた美少女のようなダヴィデからは自信に満ちた優雅さのようなものまで感じます。
お尻のラインは完全に女性だと思うのです。
飾りのついた帽子に巻き髪と、柔らかい立ち姿。巨人を一撃で倒した若きダヴィデの中に美しさを込めたドナテッロの「美」の塊のような作品だと思うのです。
ここでもう一つ見たかったのは、ギベルティとブルネレスキが競作したサン・ジョヴァンニ洗礼堂の門扉装飾の2点のセット。「イサクの犠牲」
競技の結果はどちらも優勝として両者に共同で制作させようとしたところ、ブルネレスキが辞退したという話ですが、結果的にサン・ジョヴァンニ洗礼堂の門扉装飾を勝ち取ったのはギベルティ。
ヴァザーリの書いた列伝を読んだだけなので本当かどうかはわかりませんが、ブルネレスキがドナテッロに当てつけるように作ったキリスト磔刑といい、この辞退といい、またこのあとサンタ・マリーア・デル・フィオーレ大聖堂天蓋工事で仮病を使ってギベルティを困らせた話といい、ブルネレスキって付き合いたくないけど遠目に見て面白そうな人間です。
ブルネレスキのイサクの犠牲。
ギベルティのイサクの犠牲。
さすが国立の博物館、見応えあるわ。