水戸芸術館で「BEUYS IN JAPAN ボイスがいた8日間」展を見て来ました。(←もう先々週のこと...書き掛けのまま、あっという間に2週間経ってもうた)
僕が高校を卒業して東京で一人暮らしをはじめた頃、ワタリウムでヨーゼフ・ボイス展があった。ワタリウムの展覧会履歴を見ると1991年のことだったらしい。その時、僕は展覧会を見た後、館内の売り場にあったボイスの社会彫刻についての本を買って帰った。正直、自分には理解しきれなかったけど、ワタリウムにあるウォーホル、キースへリング、メープルソープ、ナムジュンパイク、ボイスなどは当時の僕には、とっても格好良く映った。
今回の水戸芸術館の「BEUYS IN JAPAN ボイスがいた8日間」は、1984年、西武美術館での「ヨーゼフ・ボイス」展を記念して来日した8日間に行われた、インタビュー、パフォーマンス、学生との対話集会などの記録と、ボイスと関わった人達のインタビュー、そしてボイスの作品が展示されていました。
僕は昼過ぎに入場したんですが、映像資料が多かったので、そんなにゆっくり見ていたわけじゃないんだけど時間が足らなくなりました(^^;
芸大で行われた学生との対話集会の様子がとても印象的だった。
ボイスはアーティストではあるけれど、政治的な活動家だと思う。社会彫刻という概念は、人間総てが、過去の規範に囚われずに、創造性を持って社会を構築していこうというものだと思う。画家という括りのなかで妙に安心して社会を斜に構えて見たとしても、それ自体が古い型にバッチリ嵌ったものであって、長いことその型に嵌りながら生まれて来た画家の現在を見れば危機感を持たずにいられないだろうとも言っていると思う。自然環境や芸術と経済、諸々に不安を抱える学生達との対話集会をボイスは望んでいたのだろう。
もちろん、ボイスの考えに皆が賛同するとは思えない。
だけど、その場に集まった学生達は、社会に不安や意見を持っているようには見えず、ボイスが話そうとしている事と見当違いなことを批評家のように語っているようにしか思えない。大人と子供.......それ以上の差があったのかもしれない。
ボイスの作品や来日に対する批判めいた意見を意気揚々と語る学生達に僕は気分が悪くなってしまった。
ため息をつくように無言で黒板に向かいチョークを持つボイスの姿が痛々しくもあった。それでも最後は笑顔で学生達と握手をして別れる。やさしい人だったんだなぁ。
この1年半後にボイスは他界している。
作品展示ブースのあと、ボイスに関わった日本人へのインタビューの中で、当時、学生としてその場にいた宮島達男氏の「次元が違った」というコメントに救われた気がした。
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那須の森林ノ牧場の中にあるカフェのホットミルク。
テーブルで固形燃料を使って温めるのだ。母牛が子牛にミルクをあげる温度は38℃なのだそうだ。うっすら湯気が立ち始めた温度が38℃とのこと。飲んでみる。かな〜り甘みを感じてとても美味しい(^_^)v
飲食業で働く人なら知っているミルクを温める時の留意点。カフェオレやカップッチーノなどを作る時はミルクを65℃以上に温めないこと。この温度を超えると牛乳に含まれるタンパク質が変質しちゃうから味も変わっちゃう。イタリアのカップッチーノがアツアツじゃないのは彼らが猫舌なだけじゃなくてミルクの美味しい温度をしってるからなんだね。
でもここのホットミルクが美味しいのは温度のせいだけじゃない。
ここは以前、牛の放牧をはじめる時のプレオーブンイベントにお邪魔した森林酪農を行なっている森林ノ牧場に出来たカフェだからなのだ。
あの子牛たちが成長して、こうしてミルクを飲ませてくれたと思うと.....自然に、ありがとう、ごちそうさま、という気持ちが浮かんできます。
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ステーキ&フリットと言えば「地球の歩き方・パリ」にも載っているフランスのカフェやブラッスリーでの定番ボリューム料理。ステーキと山盛りフレンチフライポテトが載ったそれを、今年の1月、僕らはパリで食ってやろうと思っていた。
パリに着いてから美術館ばかり忙しく廻り、4日目辺りで40度近い熱を出して丸一日寝込んでしまった僕は、翌朝、フラフラしながらも、マルシェを散策し、パリ市立近代美術館とパリのホームセンターBHVに行った。そのBHVのフードコートで僕が食べたステーキがこれなのだ。フリットではなくバターライスが載っているからステーキ&ライスですね(^_^;
僕がレジでステーキセットを注文すると、グリルの前に立ったおばさんが腰に手を当て、軽く腹を突き出し、台に置いてある何種類かの肉をトングで差してどれが良いか聞いてきた。僕が「サーロイン」と言ったのが通じたがどうか分からなかったけど、おばさんは僕が狙っていた肉を無造作に1枚取ってグリルに載せた。
おばさんは「ミディアム?」と聞き、僕は「レア!」と答えた。熱はあっても肉を食う自信はあった。
おばさんは何度か頷くように、任せておきなという顔をして肉をトングで押さえたり摘んで焼き具合を見ている。焼き方がワイルドだ。くわえ煙草が似合いそうだ。そう、小さい頃、商店街にあった焼きとり屋で焼き鳥が焼けるのを待っているような庶民的な感じが僕には身の丈で気持ち良かった。
付け合わせはマッシュポテトかバターライスを聞かれ、僕はバターライスを選んだ。
ソースはデミグラスかオニオンか聞かれ、デミグラスと答えた。
その場にあったなかで、最高にヘヴィーな一皿が完成したわけだ。
メルシー、と皿を受け取り、オーボワーと挨拶した。
おばさんは笑顔でオーボワーと答えた。
奥の皿はうちの奥さま用のロールキャベツ&マッシュポテト.......ひょっとしたらマッシュポテトの方がヘヴィだったのかもしれない(^_^;
内蔵が着いて来れるか自分でも少し心配になったけど、僕はこれをペロリと平らげた。美味しかった。
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